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【SaaSの本質=コミュニティ運営】SaaSでの2年間を振り返ってみて、SaaSの特徴を整理してみる 後編

前編はこちらです。

働いて感じたSaaSの違和感

数字の先走り

SaaSの多くはサブスクリプション型で、先の計画を確度が高く予測できるというのが特徴です。
ARPU、チャーンレート、MRRといった数値を指標にすることで、成長率を予想するだけで将来性を確度高く予測できる。そのため、投資家からすると投資対象として選択しやすく、経営者からすると資金調達を行いやすいというのは納得です。
しかし、投資対象として側面が強くなりすぎているのでは?と感じることが多くありました。「○年後に上場するために、毎年○%成長、そのために毎月○件のユーザー増」という計画を建てるのは経営として必要なことだとは思いますが、ユーザーよりも投資家の意見が強く反映されすぎているのでは?と思っています。
SaaSに関する記事を見ても、ARPU、MRRといった指標の話がメインになっているということからも感じていることです。

実際に感じた違和感

「○年後の○円というMRRを達成するために、○%の値上げを実施します。そのために、○という機能を改善して値上げを実施しましょう。SaaSというのは、機能が上がる分、費用も上がっていくモデルです。」という話を多く耳にしました。ユーザー側もどうせまた値上げするんでしょ?と半ば諦めながら利用している人も多いのではないでしょうか?
実際に価格上昇以上の機能改善があり、納得した上での値上げなら納得できますが、容易にシステムの乗り換えができないことを見越して価格上昇目的の値上げが見られたというのが、実際に働いて感じた違和感です。

SaaSの理想像

サブスクの定義


顧客の求める価値にあわせてサービスを変化させていくモデル

小霜和也『恐れながら社長、マーケティングの本当の話をします』

毎月解約の機会がある中で、顧客の求める価値を把握し、改善を続けるのがサブスクモデルのあるべき姿。改善が見られないのであれば、ただの分割払いであるというのが著者の意見です。
僕も同意見で、口コミの影響力が大きくなっていくこれからの社会ではより、「顧客の求める価値にあわせた変化」が重要になると感じています。

とはいえ、SaaSの経営体制として・・・

とはいえ、SaaSは何の形も無いところから大きな初期投資を行ってシステムを開発し、サブスク型で投資を回収していく。最初の数ヶ月・数年は赤字が続き、いかに速く初期投資を回収できるかが問われるというのは事実です。投資が無いとスタートさえもできないし、安定して回り出すまでは大きなリスクを背負って投資している。だからこそ、安定して回りだしたなら回収を急ごうというのは、投資家サイドに立つともっともだと思います。

だからこそ、ユーザーの本当の声を把握することが大切

「SaaSの本質は、コミュニティ運営である!」というのが、僕の意見です。
営利企業である以上、利益を追求することは当然ですし、赤字ではサービスの向上も期待できません。とはいえ、ユーザーの意見を無視して経営をしていてはMRRが先細りしていくことは火を見るより明らかです。
では、SaaSに関わるすべての利害関係者のコミュニティであると認識を変えるとどうでしょうか?
ユーザーからの、こんな不満があり、こんな期待があるという意見を回収・整理し、コミュニティの課題とする。企業からは、持続可能性・開発能力を踏まえた上で、このような優先順位でこのように実現できるというコミュニティの課題解決プランを提示する。
プロダクトのマーケティングをするのではなく、コミュニティのマーケティングを行う。ユーザー側からすると、今後のシステムの開発予定を納得して参加できる。企業側からすると、課題に合わせてサービスの改善を進めていくとユーザー増加が期待できる。
「SaaS経営をコミュニティ運営と捉えることで、建設的な利害関係が築けるのではないか?」実際にSaaSで働いてみて考えた、SaaSの本質でした。

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