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ついに外野まで

各リーグ戦の試合も落ち着き、今はBチーム(5年生以下)の練習試合が組まれることが多くなった。Cチーム(4年生以下)の試合にも出場することができなかった息子だが、出席率100%が買われてなのか、なぜかBチームにも呼ばれることとなった。おそらく監督の配慮なのだろう。もちろん試合に出られるような実力ではない。それでも、一つ上のレベルの人たちとやることで、成長することを期待してくれたに違いない。ありがたい話だ。

「環境が人を育てる」とも言われる。以前、サッカーの中村俊輔選手が、さらに高みを目指し海外でプレーすることに挑戦した。サッカーにあまり詳しくない私でさえも知っている中村選手だが、海外のチームで試合に出られない日々を送っていた時に、インタビュアーからの、「日本に戻れば試合にも出れて活躍できるのに、なぜここにいるのですか?」という質問にこう答えていたのを、今でも鮮明に覚えている。

「たとえ試合に出られなくても、厳しい環境に自分を置くことで選手としても幅ができ、成長できるから」

2002年の日韓WCの時に、当時のトルシエ監督から、「ベンチで髪の毛を気にしている選手は使わない」と批判を受けていたこともあった中村選手だが、それはおそらくその一場面を切り取ったにすぎず、中村選手はたとえ身体はピッチに立っていなくても、頭の中で試合中、「自分だったらどうするか」ということを絶えず考えて誰よりもプレーしていたのだと思う。
それが中村選手をさらに偉大な選手へと育て上げていったのだ。厳しい環境を自ら選んでいった中村選手は、環境の大切さを誰よりも理解していたのだろう。

話しを息子に戻すと、息子の場合は自らというよりは監督の厚意によって環境を与えられたわけだが、周りは5年生や4年生中心で、それこそ今の息子のレベルより数段上の選手たちだ。野球をはじめて4ヶ月の3年生の息子は、必死で食らいつく。そうしているうちに、速い球を捕れるようになったり、今までより遠くに投げられるようになったりしてきた。まさに、環境の力を借りて、短い期間で成長を実感できているようだった。

そして、今日初めてあれだけ苦手で弱弱しい打球しか打てなかった息子が、外野まで打球を飛ばしてヒットを打つことができた。私は嬉しかったが、息子に笑顔はなかった。おそらく先の目標を見据えていて、ここで満足してはいけないと自然と思ったのだろう。目線を遠くにしてくれた「環境」とその環境を与えてくれた監督・チームメイトに感謝しつつ、最後は中村選手の「俊輔ノート」の信念より、

もしあなたが勝てると考えるならあなたは勝つ
強い人が勝つとは限らない
素晴らしい人が勝つとも限らない
私はできる!そう考えている人が結局は勝つのだ!

中村俊輔氏「俊輔ノート」より


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