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アオバト三昧①(観察会編)

アオバトのシーズン到来

冬以外、鳥観察に野山へ出かけていくことはほとんどないのですが、
夏、海へは出かけていました。
アオバトを追っかけて。

アオバトの存在を知り、2018年から
アオバト集団飛来地、神奈川県大磯の照ヶ崎海岸へ数回1人で行っていました。
昨年久しぶりに行き、今年も。

海岸入口の看板

当初、長くアオバトの調査研究等を行っている「こまたん」のグループの方々の活動中に出会い、スコープを覗かせて頂いたりお話する機会が何度かありました。
「こまたん」主催で夏期開催されているアオバト観察会に先日初めて参加してみました。

照ヶ崎海岸はJR大磯駅から徒歩12分程の距離。浜辺は、まるっこい石がごろごろしている所が多いです。周辺のゴミ拾い後、岩場から十分距離をとった後方にズラリ並んだスコープ。なかなか大勢の方々が集まっていました。
以前いろいろお話下さったグループの方に再会でき、勝手に懐かしがったりして。


前方の岩場に多くやって来る


飛来を待つ間、しゃがんで見始めると
おもしろい石があったりして飽きない
探し出すとしばし無心状態になり、ハッとする


アオバトは丹沢山地から春~秋に
海水を飲みに照ヶ崎海岸へ多数やってきます。
繁殖期、果実食だけでは得られない塩分等補給をするためと主に考えられているそうです。
早朝から飛来し、岩場に近づこうとタイミングを見計らい、容赦ない波しぶきをよけながら岩場に降り立つ。海水を飲んだりと留まるのも束の間、波をかわし一斉に飛び立って、大磯駅前の森へ一旦引き上げ待機…しばらくしてまた岩場へやってくる…このような行動を繰り返し、丹沢へ戻っていく。
海と森が近く、その間に位置する浜辺では、岩場に留まる姿も、大きく旋回しながら頭上高く行き来する群れの様子も観察することができます。

観察会のスコープに美しい緑色の可愛らしい姿がおさまった瞬間「入ったよー!」とお声がかかる。そのわずかな時間に皆でどうぞどうぞとかわるがわる覗きこみます。
さすがスコープ…くっきりはっきり度が
うれしい…。


スコープ越しにスマホで撮影させて頂いた
が、スマホをスコープに近づけて定めることが
なかなかできず何度も失敗し、やっと1枚撮れた


上の写真を拡大スクリーンショット
スコープの威力よ……
かわいいかわいい………の連発やむなし


アオバトの興味深い話も盛り沢山でした。

・基本的に巣は空けたままにせず、おすもめすも抱卵するので繁殖期は交代で海へやってくる。そのシフト上か、前日近くの森で「お泊まり」する個体もいるのだとか。
おすもめすも体内で"そのう乳"を作り出すことができ、それをそれぞれが雛に与えて育てるそうです。

・丹沢山地から大磯までの約30kmの間には
グリーンベルトと呼ばれる、森の連なる緑地帯が海岸手前まで続いており、その地帯を沿って飛ぶアオバトの緑色と保護色になるおかげで、天敵から隠れることもできる。アオバトもまた、森で食べた果実の固い種を排泄散布することで森を育てている…というお互い守り守られの側面、アオバトと森の循環関係の一部紹介も。

・それでも生態系のなか逃げきれずに…であったり、波をかぶってしまい…だったりと命を落とすことも少なくない。アオバト1羽の死は山の巣で待っている2羽の死も意味する。

・約20年前に巣の調査で山へ入った際、そこはアオバトの聖地と言いたくなるような独特の雰囲気を感じたそうで、、巣の調査はこの1回で良いと判断し、それ以来行っていないとのこと。

連日、飛来数を目視記録する作業や、アオバトが帰った後に岩場に残された糞を集めて洗い取り出した果実種から木の種類を特定し、どこからやって来ているのかを証明した(ご家族や専門家も協力)など、地道な調査の仕方も含め、どのお話も「こまたん」の方々の情熱とアオバトと自然への尊敬が感じられて驚きとともに
じーん…としてしまいました。

まもなく終了時間の頃、「鳥合わせしまーす」…えっ?と思いました。アオバト観察会といってもアオバトをみて終わりじゃなく、他にも見聞きした鳥を記録するのは探鳥会と同じなんだ…とそこで気づくという…。
鳥合わせなんて久しぶりだなーと思いながら、
アオバトと石しかみていなかったので、
続々と報告される名前を(いつの間に…驚)
配られたリストに黙々と○をつけていくのみでした…。

1人で気の向く時に行くのがすきですが、
こうした会の開催がありがたいと改めて思いました。
3時間程の会でアオバトのことをたくさん知ることができたが、それでも長年の調査の膨大な知識庫のきっとほんの一部…貴重な機会となりました。
鳥を通じて出会っていろんな方々と一言二言でも言葉を交わすことができるのも新鮮です。

↓アオバトの詳しい情報や歴代、日々の記録など情報満載の「こまたん」HPです。
動画も是非!

↓アオバトの鳴き声


海では海水を飲み、森では尺八を嗜む…
鮮やかな装いで激シブの趣味を持つ…?笑
アオバトが謎すぎて妄想も謎に。
実際、はっきりわかっていないことはまだまだたくさんあるらしい。


今回、会に参加したことで著作物もいくつか読んでみました。
どこからでも狙っている天敵や高波…と
いつも命の危機連続だが、台風の影響で
犠牲になる数は比べものにならないそうです。
台風が多いと海に来れず海水補給できないことが続くとそれこそ生存が危うく、台風一過にまだ荒れている海へ必死とやって来るという。
本能だ、としても、自身、雛のためと
どんどん荒波につっ込んで死んでいく姿というものを知った時、胸に迫るものがありました。
海岸にたくさん並んだアオバトの亡骸を随分埋めたそうです。

以前、波立つ岩場の方を好んで行っているような気もするが?…などとぼんやりそんなように思える場面を1人みていた時の(波しぶきを楽しんでいたりもしてな?)というのんき妄想にピリッとひびが入った感じがしました。

また、鳩は臆病ともいわれるようですが、
一連の命がけの海への旅にそんな形容はかすめもせず、それどころか…だったし、一側面で何かを決めつけることはやはりできないな…と今回、こういった知らなかったことを見聞きしたことでそんなことも思いました。

自然は、いつもいつも
黙ーーーって「それ」を綿々と行っている…と感じ入りました。


(見出し画像は、海岸入口に設置してある看板の写真をアップにしたものです)

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