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名古屋駅へ (東海道本線)

今日は、何があっても仕事を早く終わらせよう。

随分と賑やかに騒がれた割には、最初から世間の目は冷めていた。「プレミアムフライデー」という言葉は予想通り聞くこともなくなって、久しい。

月に1日くらい、自分の思うままに早帰りしてもいいじゃないか。消しても消しても増え続けるタスクリスト。今日のために、スケジュールを考えて動いてきた。

それでも考えていた時刻よりも遅くなり、急ぎ足で出ようとする。「危ない危ない、充電器を忘れてた」

まだ明るい街

真面目に働いたり、時にサボったり。それでも帳尻は合わせて生きてきた身に、平日の明るい街の居心地の悪さ。

背徳感まで感じんばかりの僕は、いったい、何をして生きているんだ?

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いっそ、ウイスキーでも片手に列車に乗ってみようか。

切符を買い求めれば、そんな現実逃避に悩むこともなく、自然と足はホームへの階段へ。一歩一歩、自分のための時間に近付いてゆく。

富士山が見える、海が見える

列車は、夕方の忙しなさの中で混雑していた。

カメラを入れた大きめのバッグを抱え、吊革につかまって外を眺めていた。車内は静か、帰宅の人達が黙々とスマホを見ているばかり。この車両で、一番遠くまで行くのは、たぶん僕。

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