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旅とタバコの想い出 / バラナシ

インドはバラナシの話。

2019年、年末ごろ
20代最後の歳を迎え、
よし、ここだ、と腰を上げ、1人インドへ足を踏み入れた。

今思うとタイミング的にコロナが始まるほんの少し前で、いけてよかったなとヒシヒシと感じる。

何故インドに行ったかというと、
僕は紀行文や旅のエッセイを読むのがすごい好きだ。
その中で
「インドにいったら世界観が変わる」
「インドには不思議な魅力がある」
などのインドについて書かれている文に対して、

「いや、そんな事ないよ」
「確かにインドで世界観が変わった」

どちらでもいいのだが、
どちらにせよそれを、
身体的に実感したかった
というのが1番の理由である。

ルートはインドニューデリーからバラナシへ。
期間は約20日間。

結論から言うと、インドへいく事で世界観を変えられる事はなかった。
世界観が変えられるというのは異なる価値観に触れる事だ。
今までの自分の持つセーフゾーンを軽々超えた生活やカルチャーを感じ、自分の世界観がゴチャゴチャになる、多分そういうことが、世界観が変わるということ。
しかし、僕の世界観はとうに他の国々で破壊されていたし、世界観を破壊されるにはニューデリーもバラナシも立派な観光地と化していた。

未開の地を求めて、観光地化されていない観光地を求めて、というのは極めて旅行者のエゴでしか無い。

それでも久しぶりの1人旅を楽しんだ。
当時も禁煙していたが、
よし、と意気込み、
アメリカンスピリッツの6ミリのカートンを何の躊躇もせず成田空港で買い込み、
タイはバンコクのトランジットで数時間のバンコクも楽しみつつニューデリーに到着した。

飛行機のタラップを降り、インドの湿度と気温に触れたときに、
「うんうんこれだよこれ」
とニヤけながら歩き始め、タバコに火をつけ、深く肺に吸い込み、吐き出す。

すぐ隣は公園なのに、石畳で寝る人を横目に、
人とタクシーとトゥクトゥクで常にごった返すニューデリーを早々に後にする事にした。

列車での移動を多少面倒だと感じ、簡単に飛行機で移動できるだけのお金を手にしてしまっている自分に気づき、些か自傷しながらも、とはいえ列車はしんどいなとスマホでチケットをとり、エアインディアに颯爽と乗り込み、バラナシへ向かった。
気軽さは変わらない、手段が変わっただけだ。

ガンジス川はどこまでも広大でどこまでも汚く、
生活に根付いていた。
特にやることも無いので、毎日チャイを飲み、
ガンジス川の石畳に座り、ひたすらタバコをふかしていた。

時折、ガンジス川で泳いだ。
顔馴染みのインド人たちが、
ガンガーで泳いだって事は、お前も救われるぜ、
と笑顔になる。

行く宛も無く、毎日何杯もチャイを飲み、タバコをふかす。

その内手持ちのアメリカンスピリッツも無くなったので、手巻きタバコのPABLOを屋店で買い、深く肺に吸い込みながらまた、ガンガーを眺めたのであった。


インド料理はあまり得意ではなかったので、
不思議とどのお店にもあった辛ラーメンをずっと食べていた。


シヴァ神も認めるヤバい飲み物を飲んでかなりの目にあった事は記憶に新しいが中々書けるものじゃない。


感銘を受ける事は無かったけど、
久しぶりの1人旅で、インドに行くことができて後悔は無い。
何よりあのタバコを吸い込みまくったガンガーの流れは、どこまでも濁っていて、全てを許してくれるように広く、今でも時々思い出してはパイプをふかす。


鳩いすぎだろ・・・

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