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『スベり高等学校』#毎週ショートショートnote

*同窓会


母校だった農業高校が廃校になってから十数年が過ぎていた。
今年で解体が決定されてから、有志だけでも集まって
同窓会をやろうということで校舎での開催が決まった。

当日。それなりの人数が集まったが、
予想通り・・・集まった顔ぶれは限られたものだった。
卒業生のほとんどが地元を離れてそれぞれの地で暮らしている。
日常を離れて出向く程のイベントでもなかったのだろう。
それでも久々に会った顔ぶれとの懐かしさで会は盛況となった。

今でも農業に関わる者が多かった。
自ら起業して世界にまで進出した同級生もいた。
別の業種で頑張ってる人や、主婦となった女性たちや・・・
今も地元で農業を続けている者が持ち寄った料理もあった。

それぞれに過ぎた時間の知らない話に華が咲いて・・・
時間はあっという間に過ぎて・・・散会となった。


二次会に行く連中とそのまま帰る人たちとの
別れの場は校門だったが、
一人が門柱の裏に書かれていた文字に気が付いた・・・?!

頭の文字は消えていて、【スベり高等学校】と読めた。

「あぁ、これは【グスベリ・・・って書いたんだよ!!」
書いた本人が名乗り出た。

当時はまるで野生の果樹扱いだった《グスベリ》も、今では
グーズベリー》として商品扱いされるまでに有名になった。

校舎の畑の一角で栽培し、そのまま食べたり
【グスベリジャム】を作ったことを思い出す・・・!!


一同の想いは別れの場に来て
一気に タイムスリップしていた。


【了】

(594字)



*このお話はフィクションであり、実在の人物、施設、出来事等とは
一切の関係がありません。


*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『スベり高等学校』
裏お題が・・・『壁に少々らっきょう』でした。

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