『スベり高等学校』③ #毎週ショートショートnote
*滑走
【スベり高等学校】
その標識のような粗末な立て看板には
手書きの文字でそう書かれてあった。
今まで係員の誰にも気付かれなかったのは
上級コース頂上の
コースからも外れた位置に立っていたからだ。
長年の職場の管理だったスキー場も
今年限りでの閉鎖が決まった。
跡を濁さず・・・と、最後のコース点検で
その立て看板を見つけたのだった。
もちろん撤去処分の対象だが
看板の文字に首を傾げた・・・
【スベり高等学校】など聞いたことがない。
ここのコースに授業で来た高校にも
そんな名前はなかった。
留辺蘂(ルベシベ)高校なら知っているが
ここを利用したことはない。
謎の答えを探っても意味はないので
撤去すべく廃品として所定位置に移動した。
☆☆☆
夜になり、上級コースの頂上に立った。
長い付き合いだったコースとのお別れに
スキーでの最後の滑走に雪を蹴った・・・・!!
夜の景色の全てが後方に飛ぶ。
このコースでは誰も経験のない直滑降だ!!
俺は
スベり高校生にワープしていた。
【了】
(410字)
*このお話はフィクションであり、実在の人物、施設、出来事等とは
一切の関係がありません。
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『スベり高等学校』
裏お題が・・・『壁に少々らっきょう』でした。
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