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『 秋の空時計』① #毎週ショートショートnote

*哀しき秋時計


秋の空時計担当の秋空は
夏の空時計担当の夏空と冬の空時計担当の冬空に挟まれて
悩んでいた。あまりにも理不尽な立場だったからだ。

夏空は10月に入ってからも30℃を超える日々に幅を効かせていたし
冬を目前に控えた冬空はすでに始動準備を整えて待ち構えている。

今年は・・・秋の立場など無いに等しいのだ。

たった数日でしかない秋の空時計を担当しろだと?

ふざけるなーーーーーー!!!


秋空の怒りに一瞬、夏空と冬空はたじろいだが
直ぐに両サイドから秋空に詰め寄った!

「おぅ、秋空さんよ~! そんな態度をとっていいとでも
思ってるのか? 今まで夏のおこぼれに預かっていた
感謝の気持ちはないのか? 恩知らずが!!
そんな態度が許されるとでも思っているのか?!」

冬空も続けた。

「なぁ、秋空さんよ。あんたを責めるつもりはないんだ。
ただ冬の立場を代表して言わせてもらうが・・・
自分の責任は果たせよ!!今すぐに雪を降らせたっていいんだぜ?」

言い返す言葉さえ失った秋空は怒りを内に込めたままに
たった数日の為に時計の針を空いっぱいに広げた。


哀しき長針と短針を慰めるように
秒針が優しく秋空を刻んでいた・・・・☆


【了】


*このお話はフィクションであり、実在の空模様とは
一切の関係がありません。😅


*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『秋の空時計』
裏お題が・・・『腋の薔薇時計』でした。

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