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『秋桜』② #シロクマ文芸部

*いつまでも



秋桜のような女の子だった。

小4の頃。
転校して来たばかりの網走の小学校。

とある算数の授業時間。
それぞれに与えられた問題を黒板に発表する
時間があって、それを添削する成績上位の児童もいて。

自分も問題の式や答えを書いていると・・・

「違う!こうやるんだ!!」と
自分の書いてあった式と答えを見せてきた。

自分が () と、渋っていると、自信満々に

「早く言われたとおりにやれ!」と、
偉そうに命令してきた。

知らんぞ?・・・と、その通りに書いた。


席に戻ると、別の班だった女の子から
身を乗り出して・・・声をかけられた。

「あの式・・・○○君のでよかったんじゃない?」


そのことを先生に指摘されて悔しそうに
偉そうだった児童も自分のところに来た。

「こうやれ!」と
教えられた式をやはり偉そうに見せてきたが

自分が書いたまま・・・だった。

書いた結果は、もちろん『 〇 』。
それだけのことだったけど・・・


そんな・・・どうでもいいような
子供の頃の思い出だけど

浮かぶのはそのときの女の子。

短髪で。背が高くて。凛としていて。

そんなに話したこともなかったけれど・・・
その子の印象は《コスモス》だった。


その子はいつも 秋桜だった・・・!



その頃から永劫の時が流れても
秋桜を見るたびに・・・


永遠のコスモス 
の あの子を思い出す。





*こちらに参加させていただいてます。
「秋桜」から始まる小説・詩歌・エッセイ
締切は10/15(日)21:00。 #シロクマ文芸部

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