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『信者ブラスバンド』①(裏お題) #毎週ショートショートnote

*とある《意地っ張り》の卒業記念


ブラスバンドが嫌いだったわけじゃない。
ただ俺は《あいつ》が主催する部にだけは
入りたくなかった。

あいつはまるで教祖のように生徒の心を掴み
思うままに支配する。

ブラスバンドの全国大会でも《金賞》の常連だ。
顧問の《あいつ》に心酔するかのようなバンドを称して
【信者ブラスバンド】とまで揶揄される始末だ。

そんな高校に入ることになったのは
父が校長だったという理由だけだったが
俺は・・・校風には染まるつもりはなかった。

一人でアルトサックスの練習を続け・・・
Jazzの世界で生きることを決めていた。
誰にも文句を言わせない!!

☆☆☆


高校の卒業式を終えて・・・

俺は自分だけの《卒業記念》を試みた。
観客さえいない河原での【一人コンサート】だ。

心を込めて、魂を込めて演奏に集中していた。

不意にドラムの音が響いた?!
続けてクラリネット、さらにトランペット、そして
トロンボーン・・・?!
俺のバックバンドのように加わったブラスバンドの演奏が
河原中に響き渡った・・・!!

みんな・・・いつの間にこの曲を練習した?!
『卒業写真』の 《Jazzアレンジ 》だぞ?!


気付けば、河原中に全校生徒が集まっている?!
俺だけが・・・知らなかったのか?!


みんなの涙の笑顔がウザ過ぎる・・・!!

指揮する《あいつ》も笑顔で俺を見た・・・


思わぬ卒業記念のコンサートで
意地っ張りの涙が 弾けて溶けた
・・・!!

だから素直に《兄》とみんなに
感謝するしかないじゃないか
・・・!!!


【卒】



*このお話はフィクションであり、実在の人物、高校、出来事等とは
一切の関係がありません。


*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『忍者ラブレター』
裏お題が・・・『信者ブラスバンド』でした。

#シロクマ文芸部・参加作品

#毎週ショートショートnote・出品作・他


↑*この作品、有料設定だったのですが、あまりにも読者の数が少なく、、
今回、note三周年を祝して無料設定に切り換えました。よろしかったら
見ていただけると幸せです。
かなりの長編なのでボリュームには自信があります☆(笑)

↓こちらも、やや長編で・・暇つぶしになると思います。

↓ 蒸気機関車も出てくる・・・お話です。(短編)

↓ こちらは昔の北海道のお話・・・(短編)



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