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#呑みながら書きました つづきその③

目の前には写真が飾ってある。B2サイズの額縁の中に見覚えのある写真が。横浪修の写真だった。僕の好きなAssemblyの写真集の中の1枚だ

同じ服をきた幾人かの少女達がどこか懐かしい風景の中に佇んでいたり、歩いていたり、走っていたりするその写真集の雰囲気がスキだった

絵本の様な、でも実際に現実に存在する少女達。皆顔が見えないよう撮られている。僕はその写真集がスキで持っていたがこんな風に額に入れてはいなかった。僕の部屋に似合わなかった

彼女はまだ携帯をつついている。体育座りで背中も曲がってる。少し猫背気味に。華奢過ぎない健康的な体手足も長い。仕事柄いつも全体像を把握してしまう。こう撮るとキレイだなとか

僕はソファの上でその写真をゆっくり眺める。程よい距離感と部屋に射し込む光が3時頃になり部屋の明るさを程よいものにしていた


ふと肩が重くなる

どうしたのか?僕はコーヒーを持ったまま固まる。すぐそこに彼女の顔がある。随分と頭がハッキリしてきた。多分今度は彼女が泣いてる

「どうしたの?」出来るだけ優しい声で聞いてみた。コーヒーを隣のローテーブルに置く。彼女に振動を与えないよう

なんで出てっちゃったのかな…

ものすごく小さな声が聞こえた。

「ねぇ、この写真スキ?スキならあげる」

え、どうして?スキなのが分かったの?

「だって彼と、同じ顔して見てたから」あぁ、そうか。これは元彼がスキだったものなのか。なんだか同じものを好む自分が申し訳ないように思えるな

ねぇ、男心ってなんなの?訳わかんないんだけど。そんなことをボソボソ言ってるのが聞こえる。随分小さい声だな

少し話を聞かせてよ…良かったら。

僕も彼女のボリュームに合わせて小さな声で聞いてみた。





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