いのち

宝塚の現役でご活躍なさっていた方が亡くなり驚いていたところに、過去にジャニー喜多川からの性被害で苦しんでいた人が誹謗中傷を受けて心労が嵩み亡くなったニュースを読んだ。

もうダメすぎる。いくら夢を見せる仕事をしていても、その集団が人を殺してはいけない。
どちらも立ち止まってほしいと思った。

私は、ジャニーズ性加害報道を個人的な関心から追い続けていて、文章もいくつか書いたが思うところがあって今は消している。
しかし関心は持ち続けている。

私は、いのちが最も大切だと思う。
ひとりのいのちと、組織の存続なら、
ひとりのいのちの方が大切だと思う。

まず私はそこを前提にして話がしたいので、
いのちが危険に晒されてきた組織は、
いくら過去の実績があったとしてもダメだと思う。歪みがある。何も美しくない。

私はジャニーズ性加害報道に触れた今春、真っ先に所属タレントの心のケアをしてほしいと思っていたが、どれぐらいしているんだろうか。心配だ。
事務所にいる限り仕事も来ないということで、売れた人達は独立していくようだ。最善の選択であるように思う。
逆に、残っている人達はなぜ残っているのか疑問であって、創業者がおよそ一般社会では考えられないほどのアブノーマルな人間でその人の犯罪を隠蔽してきたのが自らの所属する事務所であると分かってもなお残る意味は。
信仰心とかそういうものなのだろうか。義理人情だろうか。他に引き取ってくれる事務所がないのだろうか。とにかく、正常な判断ではないように私には見える。

宝塚も組織的な隠蔽体質が基盤にあり、もはや全員がアブノーマルな〈教育〉で育てられているように見受けられる。電車の車内や駅の構内に宝塚の写真が貼ってあることは日常的なものだったが、今や悲しみの気持ちを持ってしかそういうものを見ることができない。できたら外してほしい。

どちらの組織についても、悲しみの感情しか沸かない。

歪みの上に成り立つ虚構の美より、
思うように生きている人間の日常の方が良い。
その上に成り立つアートの方に私は魅力を感じる。

このたび亡くなられたおふたりについて考えると、私は夜も眠ることが難しい。
宝塚の人はまさに最近まで過酷な労働環境で働いていた人。私も過酷な労働環境で働いて心がどんどん壊れていったので、この人の苦しみは少し分かるつもりだ。
ジャニーズにいた人は性被害の苦しみと長年闘い、その苦しみに思いが至らない人達からのバッシング(そのこと自体に私は疑問を覚える。どんな理解力?)に悩み、おそらく自分の体験から、2度とこんなことが起こらないようにと、子ども達の未来を少しでも良くしようという志をなんとか持とうとした人。ジャニーズからのレスポンスが無かったことにも悩んでいたと報道にあった。私も会社の対応の遅さに苦しんで何度も寝込んだので、レスポンスがないことに対する絶望感は少し分かるように思う。もちろん食事も取れない、寝込んでいると言っても睡眠は取れない(起き上がる気力がないのでただ横になっているだけ)。

全く内部の人間でもなんでもないが、
このふたつの組織がどんな組織なのか、
分かる。
いのちを大切にする気持ちを持ってほしい。

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