PISA2018(OECD)の結果を読んで、キャリア教育と読解力の重要性に思いを馳せる

OECD/PISA2018の結果が出てました。あまりに面白すぎて仕事の帰り道ずっと読んでしまった。

まだ詳しいデータは公表されていないので、レポート読んで面白かったところのメモをシェアします。リテラシーのスコアだけではなくて、後半の質問紙分析のところも面白いのでぜひ。

大学院時代、キャリア教育や読解力をテーマに活動していたんだけど、その重要性を改めて感じる結果でした。

ちなみにここから新聞では読解力が15位に落ちたことが盛んに騒がれると思いますが、読解力は年によって振れ幅が大きいので今年落ちたことを強調しすぎるのは不健全だと思います。

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https://www.oecd.org/pisa/PISA%202018%20Insights%20and%20Interpretations%20FINAL%20PDF.pdf

いま伸びている国 (p.11) → この国の教育政策調べてみたくなるね
・ヨルダン
・マカオ
・ロシア
・エストニア
・ポルトガル
日本は学校内格差は少ないけど、学校外格差は大きめ (p.21)
→ フィンランドとかアイスランドは真逆
→ ほかの調査結果と合わせると「生まれた場所で人生決まる」傾向が強いかも?(身も蓋もない言い方だけど)
日本、科学・工学分野の人気がなさすぎ… (p.33)
→ というふうに見えるが、実態としては学んでいることがキャリア(人生)と統合されてないのでしょうね。科学や工学が実生活and/or職業とつながっていれば、さすがにもう少し高いスコアになるでしょう。
めっちゃ勉強しているのに読解力低い国が結構ある (p.41)
→ 読解能力の教育メソッドを輸出したらいいのでは、という気がする
知性は後天的に伸ばせるぜって思う気持ち(Growth mindset)の男女差・経済格差が大きい (p.37)
→はやく克服しないといけない、地頭信仰の現れな気がします
日本はおそろくべきほどカウンセラーによるキャリアガイダンスがされていない(最下位!) (p.44)
→だから民間のキャリア教育が多いんでしょうか
日本では以下5つが生徒のポジティブな感情と関連 (p.50)
・Sense of belonging at school → やっぱり孤独はネガティブなんだろうか
・Student co-operation → 同上・Index of parents’ emotional support → 家庭環境大事やね・Students’ socio-economic status → 今回のレポートは全体として経済格差を感じますね・Student is a girl → ジェンダー格差も色々な質問に出てくる

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ついき。日本についての公式考察も面白い

https://www.oecd.org/pisa/publications/PISA2018_CN_JPN_Japanese.pdf

>>読解力と科学的リテラシーについては、最近の傾向として明らかに低下した。
>>この期間の男子の成績が安定している一方で、女子の成績が低下したため

→男子が一定で女子が低下したっていうのは何があったんでしょう。SNSの発達で勉強に割く時間が減った割合は女子のほうが大きかったとか?(凡庸な仮説ですが)

>>日本では、77%の生徒は自分が失敗しそうなとき、他の人が自分のことをどう思うかが気になるという見解にその通りだ又はまったくその通りだと回答した(OECD 加盟国平均:56%の生徒)。
>>成績の高い国は、生徒の失敗に対する恐れを感じている割合が高いという傾向がみられる。 日本を含むほぼすべての国・地域で、女子は男子よりも失敗に対する恐れをより強く表明しており、この男女差は習熟度のレベルの上位層の生徒においてより大きかった。

→これは特に面白いですね。成績がよい国/生徒は、成功して褒められるっていうサイクルの中にいすぎて、そのサイクルから抜けられなくなるのでしょうか。フラクタル構造を感じますね。

>>(数学的リテラシーは) 習熟度上位層の生徒の得点は低下傾向(3年ごとに平均で 2.7 ポイント、この傾向は0との統計的に有意な差はないが、習熟度下位層の生徒の間で見られた傾向とは大きく異なっている)にあった。

→ トップ層の落ち込みがはげしいのはなぜでしょうか。ぱっと仮説が出てこないのでなにか知っている人がいればぜひ教えてほしみ…

>>校長はOECD加盟国の平均より多くの教職員と教材の不足感を回答し...

→ 日本のGDPって世界第何位だっけ(しろめ)

>>日本では、ICT関係の職業に就くことを期待しているのは、男子の6%と女子の1%のみである。

→ 小学生・中学生向けキャリア教育したい…。なんだこの現実との乖離感

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