リセットについて

リセット癖のある私は、人間関係も着信履歴も写真フォルダもすぐに全てを消して新しい何かをはじめようとしてしまう。病的な人間関係の先に誰もいてくれるはずなんてないのに、周りの人はみんな優しくて結局私を許してくれる。手を差し伸べてくれる彼らの気持ちを私は未だわからずにいて、単純に自己愛だけで私は今ここに立っているのに。いくら外部環境をリセットしたところで、当の私だけは虚しくも私のままでリセットされることがない。だから私はまた、他者の恩を仇で返し続ける。意味のない性行為と意味のないアルコールと意味のない薬物が私を取り巻いていて、それらは決して私を逃さない。狭い共同体のなかで生きることに安住したくなくて、常にカルチベートされていなくてはならない、と強迫観念。カルチベートに相応しい訳語が見つからない。

校舎内のほんの少しの隙間を覗くと、そこにはいつも社会が広がっている。私は目を見張ってそれらの情報を全て獲得しようとする。細部の台詞や身体表現まで、隈なく見尽くして真似したいと私は思う。でも、そのうちにも社会は広がり続けている。気づけば出遅れている。

6月の加速も7月の革命も、全てn回目だ。ベトナムの水色の壁。

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