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あの頃憧れた「変身の呪文」を

セーラームーンが大好きだった。

小学生の頃は毎週アニメを見ていたし、同じマンションの子供たちで集まりセーラームーンごっこなるものも頻繁に開催されていた。

セーラームーンと言えば、変身の呪文である「ムーンプリズムパワー、メイクアップ!」と変身後の「月に変わってお仕置きよ」という決め台詞が有名だが、セーラームーンの仲間たちはそれぞれに変身の呪文と決め台詞があった。

私はセーラーヴィーナスが大好きで、他の子達がセーラームーンとセーラーマーズ(なぜか2番人気)で取り合いをする中、毎回セーラーヴィーナスを1番にとり、ヴィーナスの変身の呪文や決め台詞、ポーズまでもバッチリ覚えていた。

何度やっても変身できないのに、何度も何度も繰り返し変身の呪文を唱えていた。

セーラームーン世代でなくとも、いつもは普通のどこにでもいる女の子が、街を襲う悪者と戦うために変身するアニメがどの年代にも存在する。

女の子はみんな、変身して戦うことに憧れるものなのだと思っていた。

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昨日、知り合いの旦那さんがテレビに出るということで、その番組を見ていた。

その番組は毎回ゲストが変わり司会者が周りの家族や知人・友人にインタビューをしながら話を聞くというもの。知り合いの旦那さんは昨日のゲストだった今人気の俳優さんの幼馴染ということで、インタビューをされていた。

その番組の中で、今回のゲストである俳優さんは、仮面ライダー出身とのことで、役が決まった時に「僕もついに変身できる」ととても嬉しかったと言っていた。

「変身するのは、男の子の夢じゃないですか」と。

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男の子・女の子関係なく変身願望があったのか、と思った。

そして、よくよく考えたら私は毎日変身していることに気がついた。

家の私と、外の私は違う。

セーラーヴィーナスのように、仮面ライダーのように、変身の呪文やポーズ・決め台詞なんかはないけど、会社に着くまでにこっそり変身しているのだ。

別に二重人格ではないし、性格がガラッと変わるわけでもない。

幼い頃に憧れたキャラクターたちも同様に、別人になるわけではなかった。性格や気質はそのままに、ちょっと自信が持てる技術と見た目が変わっただけだとしたら、私も毎日変身していると思った。

会社に行くときはもちろんパジャマや部屋着ではない。身なりを整えて出発する。会社でもそれなりに気を張っているし、家ではやらない「仕事」をするために、自分の持っているあらゆる能力を発揮する場でもある。

そういう点において大人は多くの人が、昔憧れた「変身」を身につけているのではないだろうか。

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来週からまた在宅勤務が増える。

きちんと取り組むためには「変身」が必要だと思った。

着替えはするが、それだけだと何となく心許ない。日常では電車に揺られながら少しずつ変身をしているので、通勤時間は言わば変身シーンのような感覚なのだ、それがないとなると仕事に向かうための変身が完結しないようにも思う。



在宅勤務の時は、ぜひあの頃大好きだった変身の呪文とポーズ・決め台詞でも言ってから臨みましょう。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。