目に見えない怖いものがありますか?
私は怖がりだ。
ビビリなので、大きな音が怖い。
幽霊やお化けの類も苦手なのでお化け屋敷も。私は以前、富士急にあるお化け屋敷に無理やり入れられ、スタート前に見せられるプレショーのような映像だけでリタイヤをした人間だ。
自然も怖い。
何が起こるかわからない状況が耐えられないので、冒険家にはなれないだろう。
ただ、そういうものだけではない。
他人から評価されるのも怖い。
自分自身は好き嫌いがはっきりしているくせに、人から嫌われたり、友人や恋人を失うことも怖くてたまらない。
自分より立場が上の人からの目も怖い。
高校の部活の監督が怖かった。そのせいか、先輩や上司も結構ビクビクしている気がする。
嫌われるのは仕方ないけど、怒られるのは嫌だ。
そうだ、怒られるのも怖い。
よく好きなタイプは「ちゃんと私を叱ってくれる人」という友人は結構いるのだが、私は無理だ。いつ叱られるかとビクビクしてしまいそうで。
悪いことや間違ったことをしていたのなら、叱ったり怒ったりせずに、ゆっくり話をしてほしい。穏やかに教えてほしいと思う。
つまり、どちらかというと私は怖がりだ。
結構何でもかんでも怖いと思ってしまうタイプだと思う。
・・・
今年の新入社員に、怖いもの知らずが入ってきた。
社内会議でもリモート会議をすると、彼のバックは真っ暗で、本当にお化け屋敷にいるんじゃないかと思うくらい背景が真っ暗なのだ。
顔も見えるが見えにくい。
真昼間でもそうなのでなぜ電気をつけないのか、カーテンを開けないのかを聞いた。
「光が苦手なんですよ」
そんなことで真っ暗のままリモート会議に参加するのは、彼がドラキュラくらいだろうと思った。
他にも部屋の様子を見られたくないだの、手元のデスクライトがあるからそれでも眩しいとだの、いろんなことを言ってはいたが、そんな話はあまり頭に入ってこなかった。
新入社員が好き嫌いで常識外のことをすれば「怒られないだろうか」と私なら不安になる。
けれど、彼はそんなことはお構いなし。
悪気もなく、「電気つけるの嫌なんで」とあっさり言いのけた。
まぁ私は直属の後輩ではないのであまり責めなかったけれど、話によると彼は直属の上司にも部屋がなぜ暗いのかを聞かれ、同じように返事をしたらしい。
これは想像だが、きっともしこのことで怒られたりでもしたら、彼はあっさり会社を辞めるのではないか。そう思うくらい、彼は飄々としている。
怖いもの知らずだ。そう確信した。
根っからの「怖いもの知らず」なのか、それとも怖いものを目の当たりにした経験がないからなのかはわからない。
後者だとすれば、教えてあげたほうがいいのだろうか。
「非学者、論に負けず」という言葉がある。無学な者は、筋道が通った論議にあっても、屁理屈を押し通し、一向に屈することがない。
あまりいい意味ではないけれど、裏を返せば論に負けない強さがあるということだ。
・・・
怖いもの知らずの人は強い。
恐怖心がないから、こんな怖がりの私なんかよりずっと広い世界を見れるだろうし、ビクビクしなくていいから心の健康は保てそうだ。
成功者と呼ばれる人たちの多くは、怖いもの知らずが多いと思う。
よって、私は成功者にはなれそうにない。
でも、恐怖心を失うくらいならならなくていいなと思う。
怖がりの私からすると、怖いもの知らずの人が怖い。何をするかわからないし、理解できないことが多いから。
私のように怖がりもどうかと思うけど、多少の怖いものはあってもいいのかなと思う。
だって、怖さを知らない人にとって、きっと目には見えないものは「ないもの」なんだと思うから。
お化けや幽霊も他人の批判も評価も見えないのはないのと同じ。それなら、人の気持ちや優しさ・思いやり、そういった目に見えないものを信じられない人だ思う。
少なくとも私の周りの「怖いもの知らず」さん達は、そういう人がほとんどだ。
それなら私は、目に見えないものを、信じられる人でいたいから、怖がりのまま生きようと思います。
今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。