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強敵はちいさなあいつ

うっかり、下唇を噛んでしまった。

口内炎のようにぷっくりと腫れ、もちろん痛かったけれど、食事の時に痛むこともなく、まぁ我慢はできた。

しかし、この「ぷっくり」が厄介者で、普段ない場所に突如現れたものだから、普段通りに口を動かしていると何度も噛んでしまう。

そして3.4度目に噛んだところで、遂にぷっくりを潰してしまった。

こうなったら、もう何をしていても痛い。

こんな日に限って、お弁当に麻婆茄子を作ってきてしまった。ぷっくりに追い討ちをかけることは目に見えている。

恐る恐る食べてみる…と、意外と大丈夫。
なるべく触れないように口へ運べば、なんとか食べられないことはない。

安心しきって、たまごスープを飲んだ。
お察しの通り、塩気のある熱い液体はぷっくりを避けることができず、気を抜いていたので尚更強く痛みが走り、思わぬ敵に攻撃されることとなって。

ご飯を食べるだけでも一苦労だった。

・・・

小さなぷっくりに、1日中翻弄された。

世の中は大きな敵と戦っているというのに、昨日の私にとっては爪楊枝の先ほどのぷっくりが最大の敵で、小さな世界で頭がいっぱいだった。

常にぷっくりを意識し、気になって仕方がない。ただじっとしてもジンジン痛むし、喋るたびに歯茎と擦れ、歯に当たるのも痛い。お水を飲んでもしみるように痛い。

結局、世界がどんなに大きな敵と戦っていたとしても、そしてその敵が私ににもたらす影響があったとしても、やはり常について回る1番身近で影響があるものが最大の敵になってしまうのだと、身をもって痛感する1日だった。

・・・

猫は痛みに強い。

高いところからジャンプをすることも多い猫は、骨折しても全く気付かないほどだという。しかし、猫も口内炎にはすこぶる弱く、失神してしまうほどらしい。

とにかく、口の中の痛みは何にも勝る強敵であるというお話でした。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。