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型付けられたがる人々

血液型診断というものが流行った。人の性格を4パターンに分けることなどできないと思っていながらも、今ではどの血液型がどんな性格という共通認識をほとんどの人が持っている。

私自身は、この血液型診断を全く信じていないわけではない。もちろん科学的証明はないことも承知しているが、少なからず共通する部分というのはあるのかもしれない、と思った。

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学生時代、統計学の授業で先生がある実験をした。「統計学の中でも最も信憑性のある心理テスト」をするというもので、私たちの結果を今後の統計にも活かすとのこと。

生年月日はもちろん、名前の画数や血液型、兄弟構成(生まれ順)などをある一定の法則に従って計算し、最終的には20パターンの性格に分類出来るというものだった。

計算後に番号を申告し、その番号が書かれたA4サイズの用紙もらい、他人とは見せ合わずに確認する。最後に、その診断が当たっていたと思う人はどれくらいいるかを調べるというものだった。結果、当たっていないと思ったのは私を含めた3人のみで、48人中45人が当たっていると思ったことが分かった。

しかし、実はこの20パターン全ての診断用紙には全て同じことが書かれていた。
心理テストや占いというのは参考とする情報がパーソナルなものであればあるほど信憑性が増すということ、またこれらのような診断は誰にでも当てはまりそうなことを並べているだけのことが多いということを証明するための実験だったのだ。

しかし、この実験で思いもよらない結果が出た。当たっていないと思った3人は全員AB型だったのだ。意図せず面白い結果が出たと、先生は笑っていた。

だから私は、世に言われている血液型診断を信じているわけではないが、「きっと何かはある」と思うようになった。ちなみにクラスにはあと1人AB型の生徒がいたので、100%の結果ではないのも確かである。

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昨日も勤め先の休憩中にエゴグラム(エゴ=自我、グラム=図表)をやろうという話になり、50問の質問に答える性格診断をした。

ただやっても面白くないので、事前に全てのパターンを見て、それぞれの結果を事前に予想することにしてみた。

これがとても面白かったのは、やはり何か作業をさせられると信憑性が増し、認識が変わりやすいということだ。事前の予想と実際の診断結果が異なった人たちに対し、「あー、確かにそういうところあるかも」と、コロッと意見を変える人の多さたるや。

しかし、このエゴグラムの診断は「自己申告」であることを忘れてはならない。また、その時々で回答が変わりそうなものも多い。

にもかかわらず、結果が出ると皆安心したような表情になる。当たってる当たってないは抜きにしても、どこか満足そうなのだ。

人々は、個性を主張しつつも「あなたはこんな性格だ」と言われることを求めているように感じる。そしてそれは「本当の自分とは」の答えを探しているのではないかとも思った。

ただ、こんなことを言っておきながらなんですが、私は占いも心理テストも好きですのであしからず。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。