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聞き間違いは楽しいです
聞き間違いや勘違いが多い子供時代だった。
大正デモクラシーと灯台下暗し、大政奉還と強制送還、アルツハイマーと光ファイバーなど、今でも記憶に残る勘違いが多い。
最近だと、同僚から「『鬼滅の刃』って知ってますか?」と聞かれ、そもそも初めて聞いたものだったし、賑わう店内で言われたということもあるが、どうしても「緻密な八重歯」にしか聞こえなかった。
そんなわけはないだろうと何度か聞き直し、字面をみてようやく知ることができた。
もちろん、正しく認識した後では同じ間違いはしない。
曖昧に聞き取った音や知らない言葉を、自分の頭の中にある語彙で当てはめようとした結果、聞き間違いや勘違いが生まれるのだと思う。
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正しく聞き取れる人と聞き間違いをする人の差というのは言葉と意味を知っているか知らざるかでたいした差ではないと思っている。
お前と一緒にするなというご指摘はご遠慮いただきたい。
ただし、何度聞いても聞き間違いもできず、全く聞き取れないという人とは大きな差がある。
それは語彙力と思考の過程の有無だ。
聞き間違いや勘違いをするということは、耳が悪いから相手の滑舌が悪いかはともかく、聞いた音を自分の知ってる言葉の中で近いものを探し、1番近い言葉を当てはめる作業なので、必ず少なからず頭を使う。
しかし、聞き取れないというのは、自分の中に近しい語彙がひとつもないか、類推する作業を放棄している結果だと思う。
子供の頃の自分を全肯定することにはなるが、特に子供の聞き間違いというのは語彙が多い証拠で、類推する力を持っていると言えるため、「は?何言ってんの?」「そんなことも知らないの?」と責めずに、きっと褒めてやるべきことではないだろうか。
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大人になってからは、聞き間違いや勘違いは減った。自分の中の語彙が増えたということもあるし、少し聞き取りが曖昧でも前後の文と似た音韻から類推して正しく聞き取れるということもある。
だが、これはこれで少し寂しい。
自分のものだけでなく、他人の聞き間違いも聞くと面白いことが多い。テレビ番組のコーナーにあった「空耳アワー」も大好きだった。
聞き間違いは楽しいです。
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