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ご挨拶の賞味期限

お隣さんになかなかご挨拶ができない。

引っ越して1週間以上経ったが、幾度か呼び鈴を鳴らしているがお目にかかることができていない。

まもなく、ご挨拶用に購入したお菓子が賞味期限切れになってしまいそうなほど日にちが経ってしまった。

もともと、両隣と真下のお宅へはご挨拶に伺おうと思っていたのだが、真下も右隣も今は空室なので、左隣の一軒だけなのだが、それでもご挨拶が出来ていないので、結局誰にもご挨拶ができないまま暮らし始めたことになる。

ただ、私の住むマンションの方々は皆社交的だ。ペット共生型マンションと銘打っているだけあり、おそらくほぼ全世帯がペットを飼っている。

犬を飼っているお宅なんかは、よく散歩に連れ出している時にすれ違うこともあるので、ご挨拶をするとペットと一緒にとても気持ちの良いご挨拶をしてくれる。

そうやって、ちょっとすれ違っただけでも4世帯の方々とご挨拶をしたり、「もしかしてあそこに引っ越してきた方?」と声をかけてもらったりして、改まった挨拶はなくとも馴染んできたかなと思う。

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それでもやはり、お隣さんにご挨拶出来ていないことが気がかりとなっている。

ご近所付き合いなんてものはほとんどなくなったこのご時世で、特に支障はないかも知れないけれど、やはりお顔を合わせておくだけで安心できる部分がある。

ご挨拶用のお菓子はもうお渡しできないかも知れないけれど、ご挨拶のカードを郵便受けに入れておくか、新しいお菓子と共にドアにかけておくか…そんなことをしたらかえって迷惑かしら…と悩んでいる。

どちらにせよ、もう日が経つので早いところ決着をつけたいものだ。

・・・

そもそも、お隣さんは挨拶を望んでいるのだろうか。

私は今の家がとても気に入っていて、たった1週間だけどとても住みやすく感じているので、是非お隣さんともうまく付き合って、仲良くなる必要はないが顔を合わせた時に笑顔で挨拶できるくらいにはなっておきたいのだけど、もしも相手が望んでいないのだとすれば、私の考えはなんとも自己中心的な考えである。

ご近所付き合いをしたくない人だっている。
不要な人間関係を作らないようにする人も最近では多いと聞く。

もしお隣さんがそういう方だったら、引っ越してきてから1週間以上が経って今更挨拶なんかされても困っちゃうのかもしれない。

引越し作業でうるさくしてごめんなさい。
そして、これからよろしくお願いします。

そんな意味を込めた挨拶とお菓子は、日が経つごとにその意義を失っているように思う。

引越し作業も1週間以上前のことで、よろしくせずとも既によろしくやっている。

切れてしまったのは、お菓子の賞味期限ではなく、ご挨拶の賞味期限なのかもしれない。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。