後悔の多い近道より、楽しい遠回りを
職場でレシピ本をもらった。
私の会社では、たくさんの雑誌を定期購読していて、その雑誌や付録などは用が済めば余る。
その日はレシピ本が余っていて、「これ、いらない?」と雑誌を購入している部署の先輩から声をかけられ、いるかいらないかを考える間もなく受け取った。
そのレシピ本は「豚肉vs鶏肉」と題し、豚肉と鶏肉のみに焦点を当てたもので、定番のものもあれば自分の中の発想にないユニークなものもあった。
私の料理はほとんどが我流ではあるが、作ったことがないものや、同じ料理でもちがう作り方を探しているもの関しては、レシピサイトを見て覚えることが多い。
だから、レシピ本も同じような感覚で見ていたのだが、レシピサイトとは何かが違うな、という違和感があった。
そして、全50品のレシピが載ったその本を、何気なくペラペラとめくりながら、レシピ本というものがこの上なく良いものに思えた。
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レシピサイトと違う点はたくさんある。
料理家として活動している人のレシピである点。
写真や構成などもプロによる仕事である点。
最近ではレシピサイトも動画でアップされるものも多いので、そこから考えるとアナログである点。
考えていくと、他にも様々に相違点はあると思うが、私が心惹かれた原因は「同じ料理がない」ということだと思う。
「同じようなやつ、さっきも見たな」がない。
そりゃ当たり前の話で、レシピ本には限りがあるので同じ料理はおろか、似たような料理もなるべく避けて作られているはずだ。
試しにあるレシピサイトで「豚肉 鶏肉」と調べてみたら、14,751品のレシピが出てきた。かたや、私が手にしたレシピ本のレシピ数は50品。
だから、同じような料理がないのは当然なのだが、これは想像以上に心地よいものだった。
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noteのハッシュタグでも「選択肢」と検索すると、「選択肢を増やそう」とか「新たな選択肢」とか「選択肢を広げよう」と言ったものが数多くあった。
しかし、私自身も気付いていなかったけど、選びたい放題に選択肢があるということは、とてもストレスフルなことではないだろうか。
選択肢が増えるということは、同時に「選ばないもの」が増えるということだ。だから皆、後悔が増えるのではないかと思う。
だから、情報が多くあることは良いことと一概には言えない。
自分の手の届く範囲で選択すればいい。
これは世界を狭めるのではなく、後悔を少なく前向きに選択していった先で、世界は広がると思うからである。
だから、情報の多い人が最初の一歩で得た選択肢のなかに、自分が何歩か先でようやく獲得する選択肢というものがあるかもしれない。
それを遠回りと呼ぶならそうかもしれないけど、近道なんかつまらないと思いませんか?
今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。