インフレ率と金利とフィッシャー方程式

http://www.econ.kobe-u.ac.jp/student/pdf/15kiso-macro04.pd

そもそも利子率とは現在価値と将来の価値の橋渡しをするもの。
例えば利子率が8%のときには一年後には資産は1.08倍になる。
しかし物価も8%上昇すると、買える財の量は変わらない。

ここから利子率というのが二種類あることがわかる。
一つは銀行が支払う利子率のような市中で適用されている利子率。
先の例でいうと8%のこと。
これを名目利子率といいiで表す。
もう一つは実際に預金者の購買力が増加する率。
先の例でいうと名目利子率 - 物価上昇率 = 0%のこと。
これを実質利子率といいrで表す。

これらの関係はπをインフレ率として、r=i - πという等式が成り立つ。
変換するとi = r + πとなり、これをフィッシャー方程式という。

フィッシャー方程式でrが固定としたときに、インフレ率πが上がると名目利子率iが上がることをフィッシャー効果という。

注意すべきは、実質利子率は2つあるということ。
一つは事前的実質利子率で、これは計算に予想インフレ率が使用される。
もう一つは事後的実質利子率で、実際のインフレ率計算に使用される。

フィッシャー効果とは予想インフレ率が変化すると名目金利も同様に変化して、実質金利には影響しないという効果。
これはフィッシャー方程式でも表される。
方程式内の実質金利は直接観察できないので名目金利から予想インフレ率を引いて計算される。

経済の長期均衡では自然利子率が実現。
そのため予想インフレ率の変化は名目金利のみを変化させるというのがフィッシャー効果の主張。

実証的には、予想インフレ率が観測できないので研究が難しかった。
しかし物価連動国債が発行され予想インフレ率が観察できるようになった。

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