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【短編選集 ‡3】電脳病毒 #97_288
劉は起きあがろうとする。背中がひりひりと痛む。
「もう少し俯せになっていて」
「どのくらい意識を失っていた?」
「数時間」
「夢を見てたよ。それより、薫陶、お前は大丈夫か?」
「うん、劉さんのお陰で。被さっていてくれたから、何ともないよ」
周りから人々の嗚咽が聞こえてくる。あの爆風で傷ついた者も多かったのだろう。劉は目を閉じる。
やがて、辺りが明るくなってくる。背中の痛みが幾分ひいてきた感じがする。劉は上体を起こし、周りを見回す。数千あったテントは跡形もない。収容者達は、当て所なく佇むか横たわる。
「どこだ?薫陶」劉の呼びかけに返事はない。