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【短編選集 ‡3】電脳病毒 #87_278

 薫陶と蘭、部屋の隅で眠り込んでいる。扉がこじ開けられるような音。それに気づき薫陶は眼を覚ます。
「おい、起きろよ」薫陶は蘭を揺り起こす。
「なんだ・・・。どうした?」
「外に誰かいる」
 蘭はすくっと立ち上がる。部屋の隅に隠していた拳銃を取りだし、扉に向かって構える。
「そんなものまで?」
「当然だろう。守らないと。ここは宝の山だ」
「宝ね・・・」
「扉が開いたら撃つ。お前は後ろに下がっていろ」
 扉の外の動きが止んだ気配。すぐさま爆発。飛んできた鉄扉にもろに当たり、蘭は下敷きに。薫陶は、部屋の隅で耳を押さえたまま震えている。