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Dead Head #4_101

 顔馴染みの浮浪者たちが数人、水飲み場で手足を洗っている。夜の食漁りから戻ったのだろう。深夜営業の飲食店が排泄する生ゴミを夜通し漁る。それで、ようやく空腹を満たす。
「兄ちゃん、蒸し暑いね。これから職探し?」その中の一人、ダボさんが声を掛けてくる。痩せぎすの体にサイズが合わないダボっとした格好をしているから、そう呼ばれた。
「いや、まだ・・・」熱心に両手を洗いながらダボの顔を盗み見る。なおも手を洗い続ける。側から神経質な男と思われても。
「裏門の人だかり。手配師、来るみたいだ。あんた、若くてガタイいいからきっと引っ張ってくれるよ」上顎に生えていたはずの前歯は抜け落ち、垢で黒ずんだ顔の中でダボの白い目が笑った。
「ああ、行ってみるよ」目を細め返事をする。