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Dead Head #7_104

 少年は、何かに取り憑かれたように叩き続ける。何が狂気じみた少年を駆り立てるのか?大上段に構え、少年はバットを大鉈に振り下ろす。塵箱の縁がしなって傾く。当然のようにゴミが散乱していく。バットの先でゴミを蹴散らし、少年は動きを止める。目当てのものを見つけたのだ。あの捨てられた携帯電話。少年は、それをバットの先で確かめる。納得したように微かに頷く。バットを振り下ろすと、それを粉砕する。液晶は割れ、プッシュボタンは飛び散り、朝顔に似た小さなスピーカーが顔を出す。その残骸を、少年は無表情に見おろす。その目に怒りはない。放心したように少年はバットを放り出す。
「うるさかったんだ・・・」言い訳でもするように少年は呟く。
 少年はバットを拾い引きずり向こうへ。砂利を敷き詰めた地面に、その捩れたような跡が続く。