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Dead Head #89_185

 本屋は暫く沈黙を保つ。落ち着かせようと、髪をなでる仕草を・・・。途中で手の動きを止める。よほど、長髪が気に入っていたのか。今はなき白髪混じりの薄汚いポニーテールが。
「言えるはずはない。何も。わかるだろう?」本屋は腰を浮かせる。
「じゃあ、俺の話、聞いて下さい。想像の話でよければ」
「いいだろう」本屋は腰を下ろす。
「そのシステムは公園周辺の人の出入りを監視していた。例のマンションも対象だった。マンションにあった地下銀行は金を集め送金し、半島から来るヤクも買い付けていたからだ。ブツが運ばれてくると、手配師が公園に来て俺らのような人足を調達した。捕まえたのか、逃げられたのか知らないが。あんたが突然公園から消えたころ、地下銀行もなくなっていた。」話を止め、水のない汚れたコップから本屋に視線を移す。