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大学院生が就活を通して打ちひしがれ、そして気が付いた事【22卒】

まえがき

自分のやりたいことって、なんだろう。

 自分で言うのもなんですが、私はこれまである程度の目的意識を持って生きてきたつもりでした。しかし今回の就職活動に向き合う中でそんな自信は打ち砕かれました。自分は就職を通して何をしたいのか、将来どうなりたいのか考えれば考えるほどわからなくなり、自己分析を通してわかってきたと思ったら、面接官に深掘りされてまたわからなくなって。。そんなことを半年ほど繰り返しました。ですが、最終的には自分の納得する形で就職活動を終えることができました。これはその記録です。

 本稿では、自己分析やWeb面接などでのテクニカルな対策にはほとんど触れていません。人生のターニングポイントとしての「就活」をどのように捉えて進むのか、立ち止まって考える一助になれば幸いです。

【起】 〜自己紹介と就活スケジュール〜

自己紹介

 私は現在、大学院で電力政策について研究しています。学部時代は4年間部活動に明け暮れ、勉強やその他の活動は最低限といった感じでした。ですが、脱炭素、特に再生可能エネルギーの導入促進についてより学びを深めたいと考え大学院に進学し、今に至ります。

就職活動全体の流れ

 私の就職活動のスタートは2020年の6月ごろでした。そこから今日までの流れを事実ベースで超簡単に書くと、以下のようになります。

2020年 6月
就活スタート。大手コンサルを中心に夏季インターンを物色

2020年 8月

何をやりたいのかよくわからなくなる。
→再度基本的な自己分析に取り組む

インターン参加を経てITコンサル系に絞る
この頃から、ミドルベンチャー企業に関心がシフト

2020年11月
データ分析系会社のインターンに参加

2021年 1月
自身の就活の軸がようやく見え始める
それを元に、企業の志望度を再考

2021年 3月
就職先をインターンに参加したデータ分析会社に決定

こんな感じです。ここから、もう少し具体的に話していきます。


【承】 いざ就活


とりあえず出すES。あまり熱が入らず、適性検査でこけることも。

 就活を始めた5月から6月ごろ、私はとりあえず大手コンサルや事業会社など、夏季インターンにエントリーをし始めました。その頃の私はミーハーで、有名な外資系コンサルや事業会社のインターンに片っ端から申し込んでいました。しかし現実は甘くありません。COVID-19の影響からか多くの学生がかなり早い時期から就職活動を始めていたことも重なってか、最終的なインターンシップ参加に至らないことも多くありました。

ESを出すことすら苦痛に

 みなさんも、たくさんESを書いていることと思います。ESにおいては会社によって違いはあれど、基本的には自分のやってきたことや就職を通して実現したいことなどについて記述することになります。

 ESを書く回数を重ねるにつれて、私はESを書くことを苦痛に感じるようになりました。「なぜ弊社を志望したのか」「一番苦労した経験は何か」など何度も聞かれるたびに、嘘とは言わないまでもできるかぎり聞こえの良くなるように美辞麗句を並べ、ある種作文をしているような感覚を覚えるようになっていったのです。当時自己分析もあまり進んでいなかった私にとって、そのようなESを書く作業1つ1つが「自分を相手に合わせて偽る行為」のように感じられ、書いていてとても辛く、なんのために何をやっているのかよくわからなくなることもしばしばでした。

【転】 自己分析のやり直しと、導き出した自分なりの答え 

 夏期インターンが落ち着いた頃、私はもう一度基本から自己分析をやり直しました。

就活における「やりたいこと」って何? 

 就職活動をしていると、「将来どんなことがやりたいの?」と聞かれることがよくあります。私も最初のうちは、会社の事業内容や自分の過去の経験に基づいて、状況に合わせて答えていました。ですがそれは、その場凌ぎの「やりたいこと」でしかないと、なかなか自分を納得させることができずにいました。

 その後自己分析をやり直していく中で、もっと大きなスケールでの、「自分が人生を通してやりたい・成し遂げたいことは何か」を考え始めました。そして最終的に導き出した答えは、「特にない」でした。

「他人から何を言われようとも、それが正しいんだ」と盲目的になれるか

 私は試行錯誤する中で、それが本当に自分のやりたいことであるのか自問自答するための1つの基準を作りました。それは、自分のやりたいことややるべきと思っていることが、「他人から何を言われようとも、それが正しいんだ」と盲目的になれるほどのものであるかどうか、です。人によていろんな考え方があると思いますが、私の中ではこの基準が最も納得感を得ることができるものでした。この基準をもとに判断した結果、私には現時点でやりたいことは「特にない」のだと結論付けました。

ESや面接もかなり楽に挑めるようになった

 前述の意味合いでの「やりたいこと」とは、かなり極論ではあると思います。ですが、極端な話とはいえ「自分のやりたいことは現時点ではないんだ」というように思えるようになったことで、ESや面接に対してかなり楽に臨めるようになりました。今までの自分はやりたいことをしっかりと持たないといけない、決めないといけないと思い過ぎるが余り、それに囚われて悩んでいたと気がつくことができました。どこか真面目すぎたのかもしれません笑。その後は「人生を賭けるほどのやりたいことはまだないけど、現時点ではこんなことができたら面白いかなと思っています」くらいのスタンスで就職活動に臨むようになり、心理的な負担も減り、結果もよくなり、納得感も得られるようになりました。

多くの人にとって、「やりたいこと」は常に変化する

 「今日の晩御飯は何を食べたい?」「今年の夏にどこか行きたいところはある?」と聞かれれば、多少は悩めどある程度の答えを導くことができる人が多いのではないでしょうか。ですが、「人生を通して何をやりたい?」と聞かれると、途端に難問になります。いつやるかの「期限」も、どう行うかの「方法」も決まってないわけですから、当然です。
 この難しい問いに対して答えを出すことのできる人は、多くはないと思います。なぜなら、人は今を基準にしか判断することができないからです。今知らない「方法」はそもそも選択肢にすら入れることができません。そんな中で、「期限」の決まっていない人生を賭けるほど強い思いを、新卒のこの時期に持つことができる人がどれほどいるでのしょうか。少なくとも私はそのようなことを見つけけることができませんでした。
 新しい知識や経験を得れば判断基準は変化し、結果としてやりたいことも変わって来ます。多くの人とって今の思いは一時的なものかもしれない。一時的なものであるかもしれないけど、少なくとも今まではこんなことをやってきて、結果として今はこんなことをやってみたい、こんな方向性を向いて頑張っています!と自分なりに整理して伝えることができれば、届く人にはしっかりと届きます。

【結】 私がたどりついた就職活動の軸

 自己分析をやり直した結果「自分にとって真の意味でのやりたいことはない」と結論付けた私ですが、その後どのように企業を選び、最終的な就職先の決定に至ったのかを少しだけお話しします。軸としては大きく2つあります。

業種・業界について:自分の今の強みを活かせる場に

 冒頭お話ししたように私は現在電力政策について研究しており、日頃環境・電力に関わるさまざまな情報を処理・分析しています。ですので数字を集めて、意味のある形で分析し加工していくといったプロセスへの理解にはある程度優れているという自負があります。 
 ですのでこの強みを活かしつつ、かつさまざまな業界に触れられる環境を探しました。結果、BtoBビジネスかつデータ分析業務にに強みを持つ企業に絞るようになりました。強みを活かそうと思った理由は、アドバンテージを活かしてより招待の可能性を広げることができると考えたからです。

「安定」よりも「変化と挑戦」

 強みを活かせる業界へ飛び込むことは決まったは私ですが、強みを活かして何をするのかについては決めておらず、就職後に探っていかなくてはいけません。まずは多くのことに触れ、ぶつかりながら情報を吸収し選択肢を広げていきたいと考えました。また、やりたいことが見つかった時に、それを実現できる自力を付けないといけないとも考えました。その後自分のやりたいことを見つけて実行していくことを考えると、悠長にしている時間はない。そう考え、よりエネルギー密度が高く、変化が激しい環境に飛び込むことを選びました。ベンチャー気質の強い企業に惹かれるようになっていった(【起】2020 年8月)のもこれが要因です。

最終的な決め手

 最終的に、私は社員数300人ほどのデータ分析・コンサルティング会社からいただいた内定を承諾しました。決めては、上の2つの条件を高いレベルで満たしていると考えたことに加えて、面接などにおいて、話していて一番無理がなかったと感じたからです。今まで話してきたような私の価値観を正直に話した上で、それに向き合い、議論に応じてくれたのがこの企業でした。そこに価値観の一致を見出し、最終的な決断に至りました。

【最後に】 就活は人生の転換点。でも正解は誰も知らない。

 ここまでの私の就職活動の流れを見て、少しでも悩みや躓いているポイントが似ているなと思ったあなたへ。老婆心ながら私から2点アドバイスを。


一人で考えていても解は出ない

 ここまで読んでいただいた皆さんの中には、「こんな結論当たり前じゃないか」「一般論すぎて具体性がないな」などと思われる方もいるかもしれません。そういう部分もあるかもしれませんが、自分の中で段階を踏み、一つ一つ納得した上で結論を導くことに価値があり、それがある種の自信につながっていくと私は思います。
 そのためには、どういった段階を踏めばいいのか、それぞれの段階で何を考えどう先に進んでいくのが良いのか、さまざまな人から直接助言をもらうのが最も効果的だと思います。自分の中で悩むのは限界があり、かつ苦しいです。就職活動という期間が限られた中で結論に近づくためには、誰かの力を借りて常にインプットとアウトプットを繰り返し、自分の立ち位置を確認しながら進んでいく必要があります。私自身もinteeなどのサービスを通じてメンターの方についていただき、自分の考え方の確認のための壁打ちにお付き合いいただきました。また、イベントや面接を通してお話しさせていただいた社会人の方からのフィードバックも、受かった落ちたを別にして自分の糧・参考として活用?しました。

 さまざまな観点から助言をいただくことで、自分をより客観視し、見つめることができます。何から始めたらいいかわからない、どこで悩んでいるのかもわからないといった人は、躊躇せずに、頼れるものは全て頼るの精神で取り組んでみることをお勧めします。


そもそも解なんて存在しない。最後は自ら正解にしてやるくらいの気概を持つ

 あなたの相談に乗ってくれているメンターの方も、あなたを審査している面接官の方も、あなたがどの企業でどの仕事をするべきか明確な答えを知りません。メンターや面接官の方が示してくれるのは、過去の経験や知識からどのような方向にすすむとより良いと考えられるか、あるいはその企業と相性がいいかどうかだけです。
 そして、残念ながら自分の中にも明確な答えは存在しません。どんなに頑張っても、出てくるものは「結論らしき何か」にすぎないと私は思っています。私が導き出した結論もまだ「結論らしき何か」です。しかしそれが自分の中でしっかりと段階を踏んで導かれたものであれば、その「結論らしき何か」に自信を持ち、次の行動によってしっかりとした「結論」へと昇華させることができるのではないでしょうか。

 自分の行動次第で正解にすることができる、そう思えるくらいの自信と納得感を持って就職活動を終えられることができれば、必ず意味のあるファーストキャリアを歩むことができると思います。これを自戒を込めたメッセージとし、本稿を閉めさせていただきます。

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