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5月11日

卵を茹でた。ヨーグルトチーズケーキ用のヨーグルトを水切りしながら、ぐつぐつと沸く鍋の中に卵をよっつそっと流し入れる。これはサンドイッチ用だ。食器を洗いながら何度もタイマーを確認する。ゆで卵の熟し具合は時間が命だ。水にあげた卵を、こんこんと軽く叩き、外殻を剥がす。ぺりぺりと殻をむき、薄皮を指の腹で破くとつやつやとしたまっちろの白身があらわになる。スクランブルエッグを作るのも目玉焼きを作るのも、卵料理を作るのは好きだが、中でもゆで卵をつくるのはいっとう好きだ。

オーブンも計りもないうちでも作れるチーズケーキのレシピを見つけた。(濃厚バナナヨーグルトチーズケーキ)
チーズケーキと言ってもチーズは一切使っていないので、チーズケーキ風バナナヨーグルトケーキと言ってもいいかもしれない。ざるとトースターと計量スプーンがあれば出来るので、一人暮らしの家にピッタリだ。ヨーグルトの上にジップロック袋に水を入れたものを重しとして置いているのだが、袋に入れると四角になり、ざるに乗せるとまあるくなるのをみて、「水ってすごいなあ!色んな形になる」と言ってしまった。流れるものとして留まらせることなく使うばかりだったので、長らくこの感覚を忘れてしまっていたのだ。

今日も授業があったので一日中PC机に向かい授業を受け、課題をこなしていた。昨夜寝る前に仕上げたはずの課題がどこを探しても見つからず、さんざ「Word ファイル 見つからない」と検索して出てきた方法を試した挙句に、結局は書き直すことになった。かなりショックだったので、これからは仕上げる度にUSBに取り込むことにする。対面授業出来ず、出席確認が出来ない代わりに毎回の課題提出を義務付ける授業が多いので、次々と出される課題に追われている。一日中勉強して、パソコンにぱちぱちと打ち込み提出する。学校に行くために化粧をしたり着替えたり人目を気にする必要もなく、人間関係も通学の煩わしさもないので自分にとって理想の最高の日々が送れている気がする。部屋着ですっぴんのまま、椅子にあぐらをかいて座って好きなだけ勉強するのは素敵だ。今日は母が休みで家事をやってくれていたので、特にそう感じることが出来た。

牧村朝子(まきむぅ)さんのRadio「おやすみ前の女の話」に投稿してみたら、嬉しいことに取り上げてもらった。中学の頃友達に辞書を貸したら、性的な言葉全てにマーカーが引かれて返ってきた話だ。思い返すと笑える。このRadioはまきむぅさんや全国の人達と友達同士で話しているような気持ちになれるのが楽しい。
五月十日更新分のRadioで出てきた、「エス」という文化を知り、興味があって調べてみた("エス"って知ってる?同性に憧れるのが当たり前だった女学生たち)。女学生の上級生と下級生が「シスター(姉妹)」関係を結び、強い繋がりを持つことだ。この記事では「大正時代から昭和初期にかけて流行した」、「「エス」という文化は今はもうありません」と書いてあるが、私はこの文化に聞き覚えがあった。昭和後期生まれの母は女子校時代、「お姉様」と「妹分」がいたと言っていたのだ。「お姉様」からはある日呼び出されて妹になってと言われ受け入れ、手作りのクッキーを貰ったり遊びに連れていかれたりしたという。妹分は恥ずかしがりやの女の子と契を結び、面倒を見たという。「エス」という呼び方はしていなかったようなので、女学校ではもしかしたら今もこの文化がそれとは知らず続いているのかもしれないなと思った。私は上下関係のあるものに縁が薄く、先輩も後輩もあまりいないので羨ましい。

書く小説の内容を決めようと考えていた時、本棚のシオランが目に入り、ペシミズムについて少し調べたら、面白い言葉を見つけた。

「知性のペシミズム(悲観主義)、意志のオプティミズム(楽観主義)」アントニオ・グラムシ『獄中ノート』

思考を進めるためには否定的に物事を見る姿勢が必要だが、ペシミズム(悲観主義)に陥りやすい。だが生きていくためには意志の力で自らをオプティミズム(楽観主義)に置き続けていかなければいけないのだ、という。これは学ぶことが好きな人は意識していないといけないと思う。人はいとも簡単に悲観主義に押しつぶされてしまう。(ペシミズムとは?)

シオランbotで見かけた、

私が書いた全てのものは憂鬱の産物である。だが私はいつも憂鬱であるとは限らないから、私の作品からうかがえるのは私という人間の不完全なイメージでしかない。私の陽気なところ、それは生活とおしゃべりに使われてしまい、本に使う分は残らなかった。その結果残ったのはありったけの悪意だった。

という言葉は、「生誕の災厄」を書き、半出生主義を唱えペシミストとして有名なシオランも、"生活とおしゃべり"の部分には陽気な部分、そしておそらく生きていくだけの楽観主義部分もあったのだなと思う。

30-day song challenge 29日目は、
"A song that you remember from your childhood"
白鳥英美子の「夢の世界へ」を挙げる。ムーミンのOP曲だ。あまりにも優しい歌で、いつ聞いても目が潤む。


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