3月29日

久しぶりに一日中家にいたのだが、自分でも驚くほど気分が沈んで具合が悪くなった。軽く腹筋をしてみたらその後数分は少し気分が回復したが、体は冷え手は青くなり布団に潜り寝込んでいた。太陽光を浴びて運動をすることの大切さを思い知った。具合の悪さにうんうん唸りながらも、昨日から読んでいた「いたいけな瞳」の残りを読み切った。ワイド版七巻に収録されている「レンタル家族」を読んで、同じような設定の小説を先月読んだことを思い出した。「ずっとお城で暮らしてる」で知られているシャーリイ・ジャクスンの名を冠した賞を受賞した短編集、ケヴィン・ウィルソン「地球の中心までトンネルを掘る」の中の「替え玉」だ。

地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション) https://www.amazon.co.jp/dp/4488016588/ref=cm_sw_r_cp_api_i_0DiGEbSA32EAQ

両作品の「家族をレンタルする」という設定で決定的に違うのは、題名の相違でもわかるように、前者の作品の中では全員がそれがレンタル家族だということを承知していて、後者では依頼人と役者の他にそれが本当の家族だと信じ込まされている誰かがいるという点だ。その違いで役者となる人達の心構えや求められるものも変わっていて、両作品を比べてみるとまた面白い。「地球の中心までトンネルを掘る」はどの短編もすごく面白くて次は次はと読み進められるのでおすすめだ。

本や漫画などをある程度の数読んでいると、似たような設定のものを見つけることもあるが、どれ一つとして同じものはないことが不思議だ。そしてその事実がとても嬉しい。創作界で言われる「n番煎じでもあなたの書くそれがみたい!」という言葉がとても好きだ。

東京では毎日一日の確認される感染者数の最高値が更新されていっている。暗いニュースが続く。欧州では厳しい外出制限措置の影響で家庭内暴力の増加が深刻な問題となっているらしい。すでに休校措置で家ではネグレクトされている子供や虐待を受けている子供の行き場所がないことが問題となっている日本でも、きちんと外出制限措置が行われたら(つまり生活が補償され家にいれるようになったら)、その問題もすぐに浮上してくるだろう。本当に今、男家族と離れて暮らせていて、母をそこに残さずにいれてよかったと思ってしまう。DVには、身体的なもの・精神的なもの・性的なものと大きくわけて三つの形態があり、多くは何種類かの暴力が重なって起こる。

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/dv/02.html

目に見える傷が残るものだけが暴力ではない。傷が残ったり、ものを壊されたり以外だと「実害はないから...」「傷ついたと感じる自分が悪いから」と被害を自覚しない人もいるが、内閣府が精神的なもの・性的なものもDVだと定義しているし、それによりPTSDなど精神障害をおってしまった場合は刑法上の傷害罪として処罰することも出来るということを知っていて欲しい。上記のリンクに相談機関の一覧も載っている。

長時間家族を過ごさざるをえない状況になっている今、家族仲のいい人も悪い人も何が暴力にあたるのかを改めて確認し、互いに適度な距離と尊重の心を保って過ごして欲しい。心の余裕を持つためにも政府は早く現金の給付と生活の補償を。

ふと机の下の本棚に目を向けると、ビニール紐で亀甲縛りを施されている河合隼雄の「閉ざされた心との対話」が見えた。一昨年の夏、唐突に緊縛に興味を持ちペットボトルと読了したばかりのその本で練習したのを思い出した。解き時がわからず縛ったまま放置している。下巻にあたる「心にある癒す力治る力」を買う機会が訪れたら、解こうと思う。

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