見出し画像

ILFORD XP2 SUPERのライフハック


 モノクロフィルムってとても面白い。

 撮影した結果がパリッと決まっているとテンションはフォルテシモだ。
 しかし、モノクロの現像は少し大変だ。

 勿論あなたが自家現像に手を出しているようなちょっと濃いアマチュアなら私の掛ける言葉はたったひとつしかない。

 フォマパンは、いいぞ

 もしそこまでの覚悟がまだない方であれば、もしかしたらモノクロフィルムを撮り終えたら買ったお店やラボに送ったりしているのではないか。
 で、カラーネガと違って納期が一週間とか二週間言われているとか。

 ……図星だろうか。
 別にこれはニュータイプの勘ではなく、ただの実経験に基づく話なのだが。
(そして自家現像に手を出す)

 実はそこまで手間を掛けずとも、カラーネガと同じC-41現像で現像出来るモノクロフィルムというのはちゃんとある。

 現行品でないBW400CNとネオパンは取り敢えず置いておくとして、モノクロフィルムの名門・イギリスはイルフォードから販売されているILFORD XP2 SUPERがまさしくそれだ。


 今回はこの便利なフィルムについて説明してみたい。


 このフィルム、先述したとおりC-41プロセスで現像出来るモノクロフィルムである。
 つまりは通常のカラーネガと同じ、早いとラボ出しから一時間くらいで現像が仕上がる。
 さらには入手もかなり容易なので、取り敢えずモノクロで写真を撮ってみたい、という場合はまずこのフィルムが選択肢に上がってくるだろう。

 私もフィルムさんぽでたまにモノクロ使いたくなった時は前日に会社近くのヨドバシで買ってきたりする。



 しかしこれほど便利なフィルムがあるなら、どうして他のフィルムもC-41現像対応にしないのか。

 実はこのフィルム、まずモノクロというかちょっとセピア気味に写ってくる傾向がある。
 特にオーバー気味に撮ると顕著だ。


 これなんか非常にわかりやすい。大分セピアだ。


 また、僅かにコントラストが甘いと言われることがある。
「XP2の映りはちょっと眠たいね」と評される。
 翻して言えば優しい映りではあるのだが。


 やはりフォマパン100の写りは好きだな。

 目が慣れてくるとどれがXP2で撮影したか簡単に見抜けるようになるぞ。





 わかるかな?


 2枚目がXP2だ。
 残りはレトロパンとフォマパン。


 この色味、これはこれで構わないんだけれど、やっぱ、こう、なんか違うじゃん。

 では、XP2は楽だけど眠たい擬似モノクロフィルムなのか。そうではない。

 そうではなくする方法をこっそり教えちゃおう。



 このフィルム、なーんだ?


 はい、圓楽さん早かった。
「ブラック団特製腹黒ブラックです」



 正解はILFORD XP2 SUPER。


 めちゃくちゃ簡単な工夫をするだけで、XP2の映りからセピア感を下げ、コントラストを上げることができる。


 勿体ぶるのはページの無駄なので一言で書くと、

 イエローフィルター付けてISO800として使えばいい。




 XP2は通常はISO400で使うフィルムだが、実は感度の幅が物凄く、ISO50~800まで使えるバカみたいに広いラティチュードがある

 公式が言っている。


 また、コントラストを上げる効果のあるモノクロ用フィルター、効き目が弱い方からイエロー・オレンジ・レッドとあるが、このイエローフィルターと組み合わせると丁度良い。 

 何故イエローを推すかというと、オレンジ以上は多少コントラストがキツくなるのも確かなのだが、運用上簡単という理由もある。

 モノクロフィルターを付けると、露出倍数の関係で絞りやSSを設定し直してEVを調整しないとならなくなる。

具体的に言うと換算感度が下がる。

 イエローが約1段分、オレンジが約2段分、レッドが約3段分だ。


 一方、ISO400の設定のフィルムをISO800として使えば、感度は当然1段分上がる

 もうおわかりだろうか。

 ISO800で使うと感度が1段上がり、イエローフィルターを通すと感度を1段分下げる必要があるのだ。

 プラマイゼロじゃん。


 つまりイエローフィルターを付けてISO800で撮るのはISO400で普通に使うのと同じ設定でいいのだ。




 たったそれだけでシャドウ部をスコーン!と落っことしてXP2味を抜けるんだから安いものよ。

 実際、フィルムさんぽでは毎回この手段を悪用している。

 ※更に、カメラはスズキさんでネガをプリントする際
「XP2コントラスト増しでお願いします」と頼むと……?


 イエローフィルターを探すのがちょっと大変かもしれない。
 ヨドバシやビックカメラで探しても、希望のサイズが置いていないことも多い。
 webで注文するのも手だ。

 ケンコーなんかはフィルターの特注サービスをやっていて、36mmカブセのレッドフィルターを作って貰ったことがある。


 これはロシアのAstrumが出していたISO 0.8のデュープ用フィルムを使い、Opemaに特注レッドフィルターを付けて感度を3段下げて撮った。
 換算ISOどれくらいだ?
 0.2くらい?

(シャッタースピード1分とかそんなもん)

 話が逸れた。




 XP2に貴方の愛の手を。






kaz

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?