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kazのこんなカメラ⑨Canon VT





人は、誰でも夢を見る



 老いも若きも
 男も女も

 犬や野良猫も夢を見るかもしれない。



 勿論GUTSの戦士達も、夢を見る。




 ソ連にはバルナックライカをコピーした、所謂L39スクリューマウントカメラのFedシリーズやZorkiシリーズなどが存在している。
 東側のカメラが好きな私だが、実は意外とこの手のレンジファインダーは持ち合わせていない。
 Zorki-1とZorki-4ぐらいだ。

 別に嫌いな訳じゃなく優先的に集める必要がなくなってしまった、と表現するのか正しい。
 それは何故か。

 今回はその理由となるカメラ、Canon VTについて説明していきたい。



 ・夢を追いかけて、全てが変わる

 そもそも、キヤノンは戦前からレンジファインダーのカメラを作っていた。
 戦後にはライカ同様のマウントを採用した上で日本独自の改良が加えられ、一眼式になったり、裏蓋開閉式になったり、焦点距離切替機能がファインダーについたり。

 1954年の「M3ショック」(と個人的には呼んでいる)で、多くの国産バルナック型メーカーは衝撃を受けることとなる。
 黎明期だった一眼レフに参入したり、安価路線に舵を切ったり、はたまたライカM3を意識した高機能RF機を目指したり。

 キヤノンは無理やり分類すれば、それまでのバルナック型から高機能RFを目指したグループに入るのではないだろうか。

 M3から遅れること2年。
 デザインを一新したキヤノンのニュー・レンジファインダーの鏑矢となったのがこのCanon VTだ。

 ・夢の戦士が瞬転だ

 まずこのVT、外見上で最も目立つのはボディ底部に取り付けられたトリガーレバー。


 ライカにもこれまでのキヤノンにもオプションとしてトリガー付きのビットパーツは存在していた。
 これをビルトインすることによってノブ/トリガー両用の巻き上げを実現している。
 ビルトイントリガー機としてはソ連のDrugというカメラも知られる。
 まず、このトリガー巻き上げがめちゃくちゃ気持ちいい。
 ジャコッ!という感触と共にシャッターがチャージされるのは単純に快感と言ってもいい。
 ボタン操作で簡単にノブ巻き上げに切替も可能だ。

 但し当時ウケたかどうかはまた別の話で、Canon  Vにはレバー巻き上げ仕様のVLもあるし、その後のVTデラックスとVIにはトリガータイプがあるが、Canon P以降はトリガー巻き上げ機は姿を消している。

 キヤノンのお家芸、可変ファインダーも当然搭載。
 35mm、50mm、135mmのレンズに合わせて使えるし、他の焦点距離のレンズを使いたければ外付けターレットを付ければよい。
 この外付けターレットとボディが連動するようになっており、対応のターレットファインダーを使っていれば、レンズのピント距離を調整すると自動的にパララックス(視差)が補正される。

 他にも巻き戻しレバーのポップアップの感触など、細かいところの造りの良さではかなりの高レベルにまとまっていると言ってもいいだろう。


 ・いつか見たあの夢を この手に掴むまで

 さて、何故私はこのカメラを買ったのか。

 実は、夢に出たからである。

 厳密にはこのカメラが出た訳ではないが、中古カメラ市の開催を数日後に控えた日から、4日間連続でキヤノンのレンジファインダー機を使って写真を撮る夢を見た。
 主に使ってるのはIVsbとかIIとかだったが。
 それまでキヤノンのカメラに対する知識は殆どなかったが、妙な引っ掛かりとなった。

 そして迎えた中古市の日。私の狙いはホームページにも記載があったOpema用の交換レンズだったが、仕事が終わってから向かった程度ではとても間に合わず完売だった。

 そのお店のショーケースに鎮座していたのがこのVTだ。
 
 なんとなく夢で見たし、妙な縁もあるし、うわ、トリガー巻き上げかっこいいな。

 そういう経緯でこのカメラを手に入れた。

 ・ユメヲカケル!

 端的に言うと、このカメラの出来が良いのでFedやZorkiを無理に集めなくてもいい、その予算があるなら他の事に回そう、という心理からL39ソ連機はその後は地獄のレニングラードしか買っていない。


 実際扱いやすいしね、このカメラ。
 少し大柄で、フル装備にした時にちょっと重たいのが弱点だ。


 ちなみに三脚穴に付けているのはAmazonで買った中華製のGopro用のグリップ。
 純正のもあるんだけど中々見つからないのでとりあえず付けている。

 ・夢を形にするのが夢だった

 ちなみにこのVT、私はキヤノンの標準レンズを持っていないので普段はこういう形で運用している。


 やめて、やめて皆さん。
 杭はやめて。
 心臓に杭なんか打たれたら吸血鬼とか関係なく死ぬから。

 いいじゃん、ハンザキヤノンにはニッコール付いてたんだし。


 ……ジャパニーズ・ゾナーとも呼ばれるこのレンズ。
 ニッカ用に供給されたものなのだが、実は開放の描写だけ比較すると贔屓目なしでソ連のJupiter-8の方がよく写る。


 しかし、このレンズには距離計非連動の目測接写能力があるので、目測力(もくそくちから)さえ十分なら最短45cmでの接写ができる。




 キヤノンとニコン、禁断の超合体というイメージがあるが、もしあなたに宗教的な理由がなければこの組み合わせ。
 これはこれでマッチしていると思う。


 宗教的な理由がなければ。






kaz

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