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kazのこんなカメラ㉘番外 Olympus M-1

 年末にOlympus OM-1はいいぞ、という記事を書いていた。

 今回の記事はこれに付随する言わばオマケの記事となるためあくまで正式ナンバリングの記事ではなく番外記事としてまとめておきたい。

 前回のOM-1の紹介記事で「友人の元に旅立った初代OM-1に引き続き、たまたまブックオフで綺麗なOM-1が安く手に入ったので二代目OM-1をゲットすることとなった」と纏めている。今回はその続きの話となる。




夢のダブルOM-1誕生


 実はOM-1の再入手そのものは12月の頭ぐらいであった。
年末に大井競馬場で開催される東京大賞典。指定席が確保できた為、観戦にOM-1を譲った件の友人が上京してくることが内定していた。この日は私も二代目を持ち出し、友人と合わせOM-1を二台体制で撮り歩いていた。




 競馬をやるために大井競馬場に来たのは実は初めてだったのだが、全体的にコンパクトにまとまりつつも空間の居心地がかなり良い。
 時折遠征することがある阪神競馬場は自販機やトイレなどの色々なスポットが点在していたりして若干戸惑うこともあり、今年からのスタンド改修工事、どうせならスタンドだけでなくあの辺も含めて改善してくれねえかなあ、と20回位口にしていた。


 その晩は競馬バーに訪問。Zuiko 50mmF1.4で撮るカンパリオレンジだぜ。



 翌日は水族館を始め色々と撮り歩き、撮り終えたフィルムを現像に出しつつ中古カメラ屋さんを何店か巡り歩いていた。


奇跡の戦士 マイタニマスター (前編)


 勿論、探すアイテムはOMマウント関連のアレコレであったのだが、ジャンク箱から綺麗なズームレンズやテレコンなどを掘り起こしホクホクしていた時、私はショーケースの中にあるカメラを見つけた。

「待って、M-1ある!!」

 それは、OM-1の初期生産分となるカメラ、Olympus M-1だった。

 M-1に関するアレコレは各方で調べて頂きたいのだが、簡単にまとめるとオリンパスが当初発売したシステムカメラは「M-1」という名前だった。
 そこにエルンスト・ライツ社が(実際はどのくらいの温度かはわからないのだが)「ウチのカメラと名前が似ている」と物言いを付けたため、オリンパスのOを頭に付けて「OM-1」とした。要するにそういう流れがOM-1が誕生する前に存在したわけだ。
 M-1の生産数は5000台である、とオリンパス社監修の資料に書かれているようだが、実際はもうちょっとあるんじゃないかなーと思わないことはない。銘板以外にもチラホラと違う箇所があるのだが、それは後ほど大雑把に纏めるとして――

 そう。M-1が売っていたのだ。

 前述の流れが存在するため、当然M-1とOM-1ではM-1の方が希少価値が高くなる傾向にある。流通価格にも差がある。まあウン十万円とまではしないけれども。
 ところがこのお店で販売されていたM-1。横にOM-1も幾つか並んでいたのだが……

 OM-1より安かったのだ。

 マジで。

 動作未確認だが、とお約束があるものの動作未確認なら確認してやればよい。たまたまOM-1を連れていたので電池も手元に揃っている。

 全体的な外観。間違いなく美品である。底板に若干のアタリはあるものの、内部に響くほどとは思えない。
 シャッター速度。低速域がちょっと速いような……?セルフタイマーも含めて大まかには問題はなさそうだ。モルトが比較的新しい。恐らくは一度補修・修理を受けているものだろう。
 ファインダー。めちゃくちゃ綺麗。先述のモルトの件もある。後期OM-1のプリズムや代替プリズムを移植でもしているんじゃないだろうか。実用面では全く問題はない。
 露出計。動く。そしてほぼ合っている。

 と、チェックする限り実用には十分耐えられると判断した。繰り返しになるが、これでOM-1より安かったのだ。そりゃあ買っちゃうよね。


奇跡の戦士 マイタニマスター (後編)


 M-1はOM-1の初期生産品である。従ってごく初期のOM-1はM-1とほぼ同様の仕様となっている他、一部にはM-1のトップカバーなどを載せ替えた偽M-1も存在していたりする。
 一応チェックポイントをちゃんと確認しておいた。OM-1と比較してみよう。



 マウント部分のネジがマイナス




 ミラーボックス正面左下にプラスネジが存在





 クランクレバーツマミがマイナスネジ




ガイドレールのビス数が4本


 裏板圧板が短い
 と、各所の特徴は間違いなくM-1(若しくは最初期のOM-1)と同一のものとなる。


 そしてシリアルが驚愕の若さ。


 101006番。

 あれ?M-1って100000からカウントスタートしているけど市場に出たのって101000番とか100100番からじゃなかったっけ……?西側のカメラ詳しくないから曖昧なんですけれども。
 唯一、「初期型は巻き戻しスイッチのマークが四角」と言われている部分がOM-1同様の赤丸だったりするが、そもそも5000台しか作っていないと言われるM-1に初期型もクソもあるのか、という疑問はなくもないし(※)
プリズムやモルトを見る以上修理はされているのでそこで交換された部品なのかもしれない。
※ 同一の観点から生産工場の違いでは?と推理している人もいるようだ。

 実用的には問題はないわけだし、そもそもカメラで最も重要なのは映るか映らないかである。
 と、言うわけで実際の作例を見てみよう。


元日大作戦


 カメラそのものの入手が昨年末であった為、実際にフィルムテストを行ったのは12月30日からとなる。ここでは2024年1月1日に初詣や室内で試し撮りしたものを見ていこう
 フィルムはLomography ColorNegative 800
 レンズは全てE.ZUIKO 50mm F1.4によるものだ。




 こいつ……動くぞ……!!

 全体的な使用感は当然OM-1と大差はないのだが、若干シャッターの押し込みが深いような?気がする。単なる気のせいかおま環かも知れないが。


我が友エムシステム!


 M-1とOM-1の変更点は細かい部分で複数あるが、当然レンズマウントは共用となる。
 つまりはM-1と同時にラインナップされたMシステムレンズではなくとも、OM-1世代のOMシステムレンズをそのまま使いまわして先程の作例のように使うことが出来る訳だが……

 M-1のボディにはMシステムレンズを付けたくなるのが作法というものである。答えは聞いてない。

 そうした訳で先日フィルムさんぽの写真集持ち寄り回に参加した時、
「Mシステムのレンズ落ちてないかな~」と見回ったところ、落ちていた。しかも2本も。



 Mシステムのレンズってそこまでコロコロ転がってたっけ???

 とにかく見つけてしまった以上は保護しなければなるまい。


 完成、Olympus M-1+M-SYSTEM F.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8。

 ざっと並んだOMシステムの同レンズの中に普通に混ざっており我が目を疑ったことは事実だ。価格差なし。しかも結構綺麗。きっとOM-1を紹介したのでマイタニウムが高まって加護を賜ったに違いない。


修理に消えた一眼レフ


 さてこれだけ紹介してきたM-1だが、実は今現在手元にない。点検修理に出しているのだ。

「え?さっき問題なく使えそうって書いてた癖に――」
 オーケーオーケーまずは話を聞いてくれ。

 問題なく使えそうではあるが、どうせならこのカメラの真の力を味わいたくはないだろうか。
 折角安く手に入ったので、本格的に使用する前にプロに点検整備をしてもらおうと思ったわけだ。その間はOM-1使ってればいいしね。

 そういった訳で修理屋さんに持ち込んで点検してもらう。うん、やはり相当大切に使われていたカメラであることと、プリズムやモルトは修理を経ている事が判明した。
 その他整備箇所としてはシャッタースピードが少々速いようだ。1/2段ほどだが。

 私は胸を張って言った。

「ですよね、低速側の1/30と1/60がちょっと早めだったような……」

「低速側はピッタリですね。高速側の1/500と1/1000が速いです」

 Oh……

 その他露出計が照度や設定によって少しオーバーな値を示すことがあるのでついでに見てもらうようにお願いしておいた。今のうちに整備に出せば戻ってくるのが桜に間に合うんじゃないかなーという算段である。

 2024年は希望者がいれば完全招待制でkazと桜を見る会を開催、しても面白いかもしれない。

 間に合ってくれよ、M-1!

 ちなみにこのM-1、幾らだったかと言うと10000円未満だ。


 kaz

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