2022/10/08 沖縄について知るための本
元2ch管理人のひろゆきが沖縄の辺野古座り込みへの対応をめぐって左右の人たちがあーだこーだ言い合ってますね。右側からは「よく言ってくれた！」左側からは「何も知らないくせに偉そうに！」ってな具合に。
辺野古への基地移転については外交的・政治的に色々な思惑が混じりあって複雑な問題になっているうえに、左右どちらの陣営も歩み寄る雰囲気が全くないからしばらく決着がつかないんだろうなって思ってみています。
で、気になるは沖縄をめぐる論説や報道は「基地賛成」と「基地反対」の両極端しか取り合わないので、沖縄には両極端の人しかいないって信じ込まされそうで怖いんですよね。普通に暮らしてて、Aという問いに対して「賛成」「反対」だけでなく「無関心・どっちでもいい」というスタンスの人や「半分賛成」「少し反対だけど自分にメリットがあったら賛成に回る」という人もいるはず。
要は、沖縄は基地と観光だけじゃなく、本土と変わらない日常の中で生活をしている人が大多数だということですよ。でも、沖縄って日本の中で貧困率が最も高かったり、離婚率や失業率なんかも高かったと思う。そのほかにも男尊女卑的な考え方も色濃く残っている。
基地のせいか、歴史的な問題か、首都から最も離れているからかいわゆる内地とは異なる雰囲気を持っている沖縄。そんな沖縄に住んでいる人々の生活を追体験し、色々と考えさせられる本を紹介します。
＜地元を生きる-沖縄的共同性の社会学＞岸政彦ほか
階層格差という現実のなかで生きられる沖縄的共同性──。
膨大なフィールドワークから浮かび上がる、教員、公務員、飲食業、建築労働者、風俗嬢…… さまざまな職業の人びとの「沖縄の人生」。
ここにあるのは、私たちがたまたま出会った、小さな、ささやかな断片的な記録である。しかしこの「生活の欠片たち」を通じて、私たちなりのやり方で沖縄社会を描こうと思う。
私たち日本人は、一方で「共同性の楽園」のなかでのんびりと豊かに生きる沖縄人のイメージを持ちながら、他方で同時にその頭上に戦闘機を飛ばし、貧困と基地を押し付けている。本書は、少なくともそうした沖縄イメージから離脱し、沖縄的共同体に対するロマンティックな植民地主義的イメージが、基地や貧困とどのように結びついているかを、日本人自身が理解するための、ささやかな、ほんとうに小さな一歩でもあるのだ。
＜裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち>上間陽子
それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから、必死で最善を選んでいる。それは私たち他人にとっては、不利な道を自分で選んでいるようにしか見えないかもしれない。
上間陽子は診断しない。ただ話を聞く。今度は、私たちが上間陽子の話を聞く番だ。この街の、この国の夜は、こんなに暗い。
――岸政彦（社会学者）
沖縄の女性たちが暴力を受け、そこから逃げて、自分の居場所をつくりあげていくまでの記録。
<ヤンキーと地元>打越 正行
第6回 沖縄書店大賞・ 沖縄部門大賞受賞!
● ここにあるのは「優しい沖縄」ではなく、地元社会の過酷な掟である。
パシリから始まり、10年という歳月をかけた、驚愕のエスノグラフィー
――岸政彦(社会学者)
●バイクのうなり、工事現場の音、キャバクラの笑い、深夜のコンビニ前のささやき。
本書を満たす音をどう聞き取るのが「正しい」のかは、まだ決まっていない。
――千葉雅也(哲学者)
●上間陽子の『裸足で逃げる』と対になる作品だ。
――藤井誠二(ノンフィクションライター)
生まれ故郷が嫌いだと吐き捨てるように言った、沖縄の若者。
その出会いを原点に、沖縄での調査は始まった。
生きていくために建設業や性風俗業、ヤミ仕事に就いた若者たち。
暴走族のパシリから始まり、10年以上にわたって、かれらとつき合ってきた社会学者の、かつてない記録の誕生!
岸は沖縄の中で大学を出て公務員になるようなエリート層への聞き取りを重ね、上間は貧困層でドロップアウトした少女たちへの聞き取りやサポートを通じ、打越は暴走族や土建業に飛び込んで沖縄の人々の実態を調査している。そこには政治的なスタンスはなく、ただ聞いたり知ったりするだけ。そこからはみんなが想像するようなステレオタイプな沖縄の姿は少ない。というよりも、みんなが想像する沖縄の姿に合わせて大人になってからエイサーを練習するエリート層や基地とかそんなものは全く関係なく日々の生活に追われる少女、先輩と後輩（しいじゃとうっとぅ）から逃れられない男性たちの姿がある。
基地の問題も重要だけど、そこに生きる人にこそフォーカスをしてほしいと思うばかりです。
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