見出し画像

リンキン・パークの伝説の初来日公演にすべて立ち会う

リンキン・パークの初来日公演は、2001年5月14日 Zepp Tokyo、5月15日大阪IMPホール、5月16日名古屋ダイヤモンドホールで行われました。ウドー音楽事務所の招聘による、コンサート・ツアーでした。今、手元に当時のスケジュールがないので、はっきりとしたことは言えないのですが、この時点ですでに取材のリクエストが殺到する人気バンドになっていたので、この公演の日程の前に、プロモーションの日程も組まれていたはずです。そして、この日程の期間に、DJのジョー・ハーンが監督した「ペイパーカット」のミュージック・ビデオを、ジョーと一緒に見たのを覚えています。

この曲がイギリスのセカンド・シングルになったため、作られたビデオでした。今も25年前も、アメリカのバンドにとって、イギリスは本国の次に重要なマーケットだからでした。そして25年前の日本は、今以上に非常に重要なマーケットでした。なので、これだけ早いタイミングで彼らは来日したのです。DJのジョー・ハーンとは、メンバーの中でも特に仲が良くなり、一緒にラーメン神座に行ったりしました。彼は韓国系アメリカ人で、日本のアニメや玩具に非常に興味を持っていたことも、理由だったと思います。
プロモーションは6人のメンバーがいるので、チェスター組とマイク組の3名ずつに、分かれて行いました。チェスター組に、ギターのブラッド・デルソンと、ドラムのロブ・ボードンが入り、マイク組に、ベースのフェニックスとジョー・ハーンという組み分けでした。普通のバンドは、しゃべらないメンバーもいたりするものですが、リンキン・パークはどのメンバーも非常によく発言するバンドでした。新聞の取材が多かった記憶があります。それもマイクが日系であることが大きかった気がします。この来日では、まだセキュリティのスタッフもいなかったので、メンバー6人と僕だけで、六本木のイタリアンでご飯を食べたことも、いい思い出です。

チェスターとロブが出演したMTV JAPANのインタビュー番組の映像をみると、二人がワーナーの外苑前オフィスのアーティストルームのソファーに座っていて、とても懐かしく、思います。
ライヴは、ZEPP TOKYOからスタートしました。この日は月曜日でした。なのに、すぐにソールド・アウトしました。月曜の公演なのに、すぐにソールド・アウトしたのは、すごいなと思ったものです。前座はUZUMAKIが全公演、務めました。バンドは当時、『ハイブリッド・セオリー』1枚しか、持ち歌がなかったので、50分程度しか、ライヴができなかったことも、前座があった理由かもしれません。この時チェスターがジェーンズ・アディクションの「ジェーン・セズ」をギターの弾き語りでやったのですが、それもライヴの時間をできるだけ作る方法でした。しかし、観客の盛り上がりはすさまじく、ショウの長さは全く問題になりませんでした。まさに、伝説の日本公演と、言えるライヴでした。この時はライヴの頭の3曲「ウィズ・ユー」、「ラナウェイ」、「ペイパーカット」をプロモーションで使用するために、映像で収録しました。他の国と違って、日本ではファンが撮影した映像がYouTubeにないのですが、上に掲載したMTV JAPANのインタビュー番組で、そのライヴ映像が見られますので、これは大変貴重です。
終演後には、楽屋で『ハイブリッド・セオリー』の10万枚突破を記念する、ゴールド・ディスクの授与式を行いました。今でもその時の写真は大事に持っています。みんな、いい笑顔で写っています。ただ、ブラッドに、「ライヴ後に、ステージに残って、ファンにサインがなぜできないんだ」と詰められたことを今も覚えています。彼らはアメリカと同じように、ステージに残って、サイン会をしたかったのです。しかし、会場の都合、そしてセキュリティの都合で、日本では実施が不可能でした。

大阪IMPホールもすぐにソールド・アウトになり、名古屋ダイヤモンドホールも、最終的にソールド・アウトになりました。僕はチェスターに「名古屋はチケットがあまり売れない場所だよ」のようなことを言ったのでしょう。チェスターは名古屋のステージで、「I heard a vicious rumor」とこのことをステージで言ったのを今もよく覚えています。それは「名古屋のチケットはあまり売れないっていうことだったけど、満杯じゃないか」みたいな感じで、観客を盛り上げるために言っていたと記憶しています。
このあと、アルバム『ハイブリッド・セオリー』からの最後のシングル「イン・ジ・エンド」が全米2位の大ヒット・シングルとなり、アメリカでは、アルバムが1,000万枚を突破しました。日本でも、25万枚を超えて、プラチナ・ディスクになりました。これは僕にとって、初のプラチナ・ディスクでした。2003年発売の『メテオラ』のお話はまた別の機会にしたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?