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すぐ出来る!Glideを使ったWEB社用電話帳の制作(10月4日一部修正)

A.制作の動機

 かつて、社用スマホが社用PHSだった頃は、社内の社用PHSの電話番号が、アプリとして搭載されていました。当時は、回線速度を表すのにKbpsを単位にしていた時代なので、検索しても結果が表示されるのに時間が掛かり、不人気の仕組みだった記憶があります。
 PHSから、アンドロイドのスマホに変更になった際、不人気だったからか、コスト面が原因か、社用電話の電子電話帳という物がなくなり、各自が貸与されたスマホの中で、各自が自分の電話帳を管理するようになりました。
 現在は、異動の時期になると各部署から送られてくるExcelの電話リストを自分でスマホの電話帳に入力するか、ファイルをデスクトップに貼付けるなどして必要時に参照しています。また、遠方の店舗の担当者に電話するときなどは、社内ポータルというサービスにログインして、その中にある店舗情報システムという別の仕組みに再度ログインして、その中で担当者の番号を探しています。なんと手間の掛かることでしょう。
 無くなってみると遅くて不便だった仕組みも、それなりに便利だったので当初は復活を望んでいました。異動が発生した際も、今日でいうクラウド上のデータが更新され、手間を掛けずに最新のデータが反映するなど便利だったからです。
 今回、Glideというノーコード開発ツールを紹介して貰い、なにか応用例を作ろうと考えていた矢先に、不便さに慣れて、すっかり忘れていた課題を思い出しました。今回は、ちゃんと電話も掛けられるスマホのWEB社用電話帳を制作してみます。

B.実際の動作動画

C.使用したツール

・Glide :アプリの本体を提供するサービス
・Google Sheets:電話帳をSheetsに登録して参照する。
・個人情報テストデータジェネレーター(https://testdata.userlocal.jp/):ダミーの電話番号データを作成してくれる。

D.制作の流れ

1.まずは、電話帳をGoogle Sheetsに登録してみる。

 Glideは、スプレッドシートを活用したWEBアプリを簡単に作成できるツールです。使い方の基本は、豊富に用意されたテンプレートから自分の作りたい物に近い物をコピーして改良するか、自分の扱いたいデータをSheetsとしてとりあえず登録して見ると良いと聞いたのでやってみます。
店舗の一覧と店舗の幹部のリストがあったのでGoogle Sheetsに貼付けて保存します。

最初に使ってみた表(実際には60行ぐらい有る)

2.Glide側で新規プロジェクトを立ち上げる。

 次にGlideでアカウントを作り。「New Project」をクリック。適当なプロジェクト名をつけてから、今回作ろうとしているのはスマホアプリなので、「Glide App」を選択して「Continue」をクリック。
 次に「Google Sheets」を選んで「Create Project」を選択すると1.で作った電話帳の表が見事にGlideにセットされ、次の瞬間にはアプリが・・・。

Glide側の操作

3.サクッと完成、な訳がない。

 貼付けた表の上部は、フォーマットが異なるので、表のまま空欄になってしまいました。しかし、Sheetsとリンクしただけなのに、すでにアプリっぽい動きが見て取れます。

最初の表をGlideに読ませたもの


4.Sheetsを加工して、再チャレンジ。

 Sheetsに貼付けたExcelの表を確認すると、紙に印刷する前提で、セル結合や、行の折畳みなどを駆使して作成されていました。ひとまず、下の様なシンプルなリスト形式に加工して保存し直しました。内容的に建物と人間に関するところが異なるので、二つのシートに分けました。また、記事にする際に問題になりそうなので、個人の名前、電話番号などを、個人情報テストジェネレーターというサイトでダミーのデータを作成して保存しました。

成形した電話帳、店舗と幹部の二つのシートに分けた

5.再度Glideで調整。

今度はどうでしょう。ちょっとアプリらしくなってきました。
しかし、流石におかしな部分があるので、直していきます。


  • まず、店舗のシートの県ごとの括りでまとめます。

  • 薄グレーの〇欄は、画像があれば良いのですが、適当な画像がないので、使用しないことにします。又、県名で括ったので、店の名前をメインにします。

  • 次は、店舗の情報の部分の体裁を整えます。電話番号をクリックすると電話が掛けられる部品に変え、住所に対応した地図を追加します。



  • 次は、幹部リストの方を同様に整えます。使用したテクニックは、ほぼ同じです。

6.パブリッシュして、同僚に見せる。

 一応、簡単ですが、仮完成ということで、同僚に見せる事にしました。
Glideの画面右上にある「Publish」ボタンを押し、公開するURLの前半部分を決めることで、ネット上に登録され、使って貰える様になります。
 ここまでの作業、Glideに慣れないこともありますが、Sheetsのデータを用意する時間を除けば、Glideの作業時間は1時間程度でした。慣れた人なら30分掛からないでしょう。

パブリッシュすると貰えるURLとQRコード

7.改善を検討

 土曜日なのに働いていた、同様二人に使って貰いました。二人とも、意図は理解してくれ、便利だと思うと褒めてくれましたが、改善要望も3つ頂きました。
 お褒めいただいたのは、動作が速く、昔のアプリよりも軽快に動作すること。特別な環境を必要としないこと等です。
 以下、頂いた要望について検討します。

1. 昔のPHSについていた電話帳アプリは便利だった、どうせやるなら同じレベルに出来ないか。店舗の幹部だけでなく、各ラインのMGRや売場責任者の電話番号も入れて欲しい。

  1.  リストがあれば可能ですが、持ち合わせの資料にありませんでした。それと、今回のGlideは無料のアカウントで実験しています。データの行数が500行を超える場合、有料のアカウントが必要になります。また、今回の幹部のリストは、最初に採用したExcelの表の形式を極力活かしているため、店の名前を縦軸に横軸に役職と電話番号が並ぶというデータとしては良い形ではありません。Excelの利用経験から考えると、店舗のマスタ、役職のマスタを別に作り、メインの表は、従業員番号をキー列に、氏名、電話番号、店舗名、役職など横軸にならべた形式の表にし、リレーションを設定すれば効率よく検索できると思います。現在のリストでも、300人弱登録されていますので、希望を叶えると軽く1000行を突破するので、今回は断念します。


2. 英語版の地図は、不正確で役に立っていない。載せるならGoogleとかYahooでないと駄目だろう。従業員が使う電話帳に地図は、無くても問題無い。


 2. 調べると、地図位置の精度をあげるには、住所ではなく、緯度と経度を指定して検索するのが良いようです。店舗のホームページでも、新店開設の際は、緯度経度を調べて申請しますので、納得できます。かつては、GlideのMapは、Google Mapと連携していたようですが、コスト面から現在のMapBoxに変更になったようです。Google Mapは利用できないようですし、社用の電話帳にマップは蛇足と判断し、カットすることにしました。


3. 店のリストと幹部のリストが連動していないので、店を選んだ状態で幹部に切替えたら、その店の幹部が表示される方が良いと思う。


  1.  これは、改良を実現したかったのですが、うまく行っていません。店舗リストと幹部リスト、双方に店舗コードがありますので、リレーションを設定してみましたが、意図した動作になりませんでした。店舗リスト側の詳細部分に「Action Text」または、「Relation List」を設定すれば、出来そうに思え試しました。しかし、例えば仙台店を選んでいるときに、幹部リスト側へ飛んだ際、仙台店が選ばれている様に出来ませんでした。この点は、継続して解決策を探したいと思います。1.でも触れましたが、データベースとして扱いやすい表のフォーマットに作り替えるところから、始めるのが良いかもしれないと思っています。

E.最後に

 この度、初めてGlideでの制作を試みました。当初、どういう振る舞いをするツールなのか理解できずに苦しみました。テンプレートは一杯有りますが、なかなか使いたいと思う物は見当たりません。いろいろなテンプレートを触ってみて、ExcelのPivot Tableに近い仕組みで、Sheetの作り方で与えられる機能にも影響が出ることが判ってくると、だんだん好きになってきました。無料枠の制限が、仕事に使うためには十分でないのが難点です。お手軽にスマホのアプリが出来るという所は、大変面白いと思いました。
 今回制作した、社用の電話帳は、ダミーデータを本物のデータに差替えれば、実際に機能します。しばらくは、仲間内で使ってみつつ、改良を重ねたいと思います。


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