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インドカレーは難しくない

日本でカレーといえば、市販されているルーを使った欧風カレーが主流ですよね。そのため、インド式のカレーは口にする機会も少なく、ましてやご自宅で作ったことがあるという方は少ないんじゃないでしょうか。

もともと、欧風カレーはヨーロッパで生まれたものではなく、日本発祥のもので、あるカレー専門店が西洋料理のフォンやルーを使ってスパイスをマイルドにして売り出したところから始まったといわれています(諸説あるようですが)。当時の日本人にはスパイスはなじみが薄く、強すぎたのでしょう。カレーというスパイス料理をもっと楽しんでもらうために、試行錯誤してフォンやルーで食べやすく改良した結果、誕生したのがこの欧風カレーなんですね。

そして今では、スーパーでもコンビニでも、カレールーという大変便利なものが売られています。素材を鍋に入れて水で煮込んで最後にルーを入れたらカレーが完成してしまうんですから、とてつもない大発明です。まさにパラダイムシフトですよ。おかげで本来のスパイスから作るカレーのハードルが爆上がりしていて、作れるはずもない伝説の料理みたいになってますが、実際やってみるとそんなことはありません。

だって考えてみてください。インドでは各家庭で当たり前のように作ってるんですよ? 日本で言うところの肉じゃがみたいに、野菜炒めみたいに、ハンバーグみたいに。しかも調理器具だって今の日本みたいに便利グッズがあるわけじゃない頃から、普通に作ってるんですよ。できないはずがないどころか、簡単じゃなきゃ各家庭で普及するわけないんですよ。

ではどれだけ簡単にできるのか、簡単に解説していきます。なるべく簡単に…

まずは必要なものから

スパイス

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インドでは様々なスパイスが用いられます。クミン、ターメリック、ジンジャー、コリアンダーなどの耳にしたことのあるものから、フェヌグリーク、フェンネル、メースなどの聞いたことのないようなものまで、多種多様なスパイスを用いて各家庭ごとに特徴のある風味を作っています。ですが、我々日本人が家庭で作る分にはスパイスを極める必要なんてありません。というか無理。インドなら「お前マイ配合持ってないの?マジで?プークスクス」なんてことになるかも知れません(なわけない)が、僕たちはプロの配合に身を任せましょう。

おすすめは御徒町の老舗スパイス屋「大津屋」さんのカレーパウダーガラムマサラです。これさえあれば、もう完成したも同然です。

トマト

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インドカレーはスパイス煮込み料理と捉えると、より身近に感じていただけるかと思います。よく使われるのはトマト。みなさんも一度はトマト煮込みみたいなもの、作ったことありませんか? 極論になりますが、要するにそこにスパイスが入っていればインドカレーなんですよ。ね、簡単でしょ。

とはいえ、もう少し「っぽく」したい。わかります。もっとこう「やってやった感」を「ちょーカンタン」に演出したいですよね。 そこで加えるのが…

ココナッツミルク

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「ほら来たそれな」

はいはい、わかります。わかりますよ言いたいこと。

「そりゃココナッツミルク入れたら一瞬でそれっぽくなるけど、甘ったるくて変な香りと味になるし、ぶっちゃけまずいじゃん。」 加えて言うなら「どこに売っとんねん。スーパーならたまに見るけど、コンビニで買えんやろ。」って。わかります。手軽じゃないんですよね。量多いし。実際ここがスパイスよりも高い第一のハードルになってる気がします。でもみなさん、これは大いなる誤解です。ココナッツミルクである必要は、一切ありません。

じゃあなんでココナッツミルクかというと、インドやタイなどの亜熱帯地方で比較的入手しやすい「脂肪分(水分も含む)」だからなんですよ。つまり、日本でわざわざココナッツミルクを入れる必要なんてなくて「脂肪分」ならなんでもいいんです。生クリームでもいいですし、なんなら牛乳でもいい。ヨーグルトも結構使われますし、豆乳を使えば超ヘルシーですよ。

スープ

煮込み料理に奥行きを与えてくれる各種スープ。入れても入れなくてもいいんですが、煮込み料理とするならば、できれば加えていただきたいです。チキンコンソメ、ビーフブイヨンなど。もしかしたら、かつおだしとかでもいいかもですよね。僕の個人的なおすすめは「YOUKI鶏ガラスープの素」です。いろんな料理に使い勝手がいいのでよく登場します。

玉ねぎ、にんにく、しょうが

にんにくやしょうが基本的に入れるべき素材ですが、人によってはお好みがあるので強制はしません。ですが玉ねぎはマストアイテム。カレーを作るなら当然と感じる方も多いと思いますので、多くは語りませんが、やっぱり玉ねぎの甘味と旨味はないといけません。もし買い忘れたなら猛ダッシュで買いに行ってください今すぐ!

具材

ここはもう好きなものを使ってください。具材に縛りはありません。ここであなたの本当の自分を解放してください。

材料がそろったところで

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いやー長くなりましたね。お待たせしました。さあ作りましょうか。今回僕が用意したのはこちら

大津屋 カレーパウダー
大津屋 ガラムマサラ
(輪切り唐辛子、クミンホール。なくても良いです)
トマトジュース
豆乳
鶏ガラスープ
玉ねぎ、にんにく、しょうが
オクラと豚ひき肉
オリーブオイル

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1.鍋(深めのフライパンでも可)にオリーブオイル、鷹の爪、クミンホールを入れて弱火にかけて香りを引き出だす(スタータースパイス。やらない場合は2へ)

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2.スライスした玉ねぎを投入し炒める。薄く色づくくらいでOK(飴色とか目指す必要はないです)

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3.カレーパウダーを投入して炒めつつスパイスが滑らかになるまで油となじませる。この時、スパイスが粉っぽく感じたら油を追加投入する。難しそうに感じますが意外とこの作業はすぐ済みます。

分量はいつも書きませんが、スパイスは入れすぎると取り返しがつかないので、少量から入れていって調整してください。全体にまとわりつく感じです。大丈夫です、ここで足りなくても、最後のガラムマサラが何とかしてくれます

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4.すりおろしたしょうがとにんにく、具材を投入。今回はオクラと豚ひき肉なので、豚ひき肉だけを投入します。(オクラは火の通りが早いので後で入れます)しっかり肉に火を入れてください。

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5.鶏ガラスープ、トマトジュース、豆乳を投入し、煮込み用の下味に塩(普通の塩でOK)をほんの少しだけ加えます。水分はお好みですが、トマトジュースと豆乳(又は他のもの)の分量は1:1だと失敗が少ないです。

その後は弱火で煮込んでください。具材の火の通し具合に合わせて時間は調整してください。今回は豚ひき肉なので、10分も要りませんでした。

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6.最後にガラムマサラと残りの具材(火の通りやすいものなど)を加えて軽く煮て、味を見て塩で調整したら完成です! 先ほども書きましたが、スパイス感が足りない場合は、ここのガラムマサラで調整してください。ブラックペッパーなどを追加するものありです。

仕上げにお醤油を少し入れたらなじみやすい味になりますし、ナンプラーを加えたらエスニック感が増します。長々と調理手順を書きましたが、めちゃくちゃ簡潔に書くと

スパイスと玉ねぎを炒めてスープで具材を煮る

たったこれだけです。ね、簡単でしょ。この文章書く方が時間かかったくらいですよ。

スパイスから作るカレーはとても健康的。だってそもそもスパイスって薬膳だし、トマトもリコピンたっぷり。整腸効果が期待できるヨーグルトを入れても、イソフラボンたっぷりの豆乳だって受け止めてくれる。ココナッツミルクだって、ほら、なんだっけあれ。

とにかく、ルーで作るカレーもいいですが、たまにはスパイスを使ったカレーを作ってみてはいかがでしょう。また、スパイスは他にも使い道があるので、持っておいて損はないですよ。

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