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米国での日本食のリコールが増加中

こんにちは、Kazです!


今回はアメリカに食品輸出をしている方は気にしておいた方がいいかも、という情報をお届けしたいと思います。


『リコール』という言葉は、事業を進める上でできるだけ聞きたくないですよね…

でもリコール状況を把握しておくことは、事業を行う上で結構大切な情報だと思ってます。


なぜかと言うと、実務者の方々はよく分かっているかもしれませんが、輸出に100%絶対安心、と言えるケースはかなり少ないからです。


原材料・原材料の使用割合・包材・ラベル表記・残留農薬・放射性物質基準などなど、本当に100%安心して輸出しようとすると、あらゆることを、とんでもない量調査しなければなりません。

また、調査しても「大丈夫そうだけど、根拠は見つからない」ということも多々あります。


そんな中(グレーそうだなと思われる状況)でも意思決定をしなければ、事業は回っていきません。


なので、こういう状況では『リスクと天秤にかけて意思決定する』ことが最重要だと思っています。


でも、そもそも「これをした時のリスクはどれぐらいなの?」という尺度がないと、『天秤にかけて意思決定する』ことはできません。


このリスクの尺度を自分に(会社に)落とし込むために『リコール状況(ある種のワーストケース)をちゃんと把握しておくこと』は非常に重要な指標になりますよね、ということです。


とっても前置きが長くなってしましましたが、本題に入りましょう!
(*特定企業にマイナスの影響を与える意図はありませんので、今回企業名は出さず、リコール情報は名指し公開いたしません)


米国での日本食リコール件数は約3倍に増えている


アメリカのFDA(Food and Drug Administration - アメリカ食品医薬品局)という機関が公開しているリコール等のWebページが存在します。

出典:US Food and Drug Administration



ここで公開されている情報から、僕が勝手に日系企業や日系商品に関係するであろう案件のみを整理してみました。(独自調査ですので100%完璧なデータではありませんのでご容赦ください…)

そうすると、状況はこんな感じになっています。


*US FDA情報をもとに筆者作成


  • 2019年:1件

  • 2020年:0件

  • 2021年:1件

  • 2022年:4件

  • 2023年:11件



まずは、「え?だいぶ少ないじゃん…」という感想ですよね笑

そうです。日本食のリコール件数は、そもそも非常に少ないんです。(この気づきすらも大事)


ちなみに、2019年は掲載されている全リコール件数(44件)に対する日本食のリコール件数(1件)の割合は、約2%です。

また、2022年の全リコール件数(310件)に対する日本食のリコール件数(4件)の割合は約1%です。


つまり、「日本食がリコール対象となるケースは全体の約1〜2%程度ですよ」という事がわかります。


ただ、読者の方はもうお気づきかもしれませんが、「全リコール件数が増えすぎじゃない?」ということです。


2019年が44件でしたが、2022年は310件ですので、3年間で約7倍もリコール件数が増えています。


なので、「最近は特にリコール件数が増えてきているんだな」という認識を持つ事が大切です。


番狂わせの2023年


そして、もっと重要なのは、2023年。
「11件で一番多いけど、全数も多いんでしょ?」と思いますよね、
僕もそう思っていました。


しかし、2023年5月2日時点での全リコール件数は96件。
対して、日系食品のリコールは11件。

計算すると、約11%が日系食品ということになり、例年と比べると約10倍もいきなり増えているんです。


「え〜っと…何が起こっているんですか?」と思われたと思いますが、はっきりは分かりませんが、雰囲気で感じるのは「US FDAが最近かなり厳しくチェックし出したのかなぁ」という感じでしょうか…


主なリコール理由は?


さて、いきなりリコールが増えているのですが、何が理由でリコールされていたのでしょうか…?


2023年の日系商品が『リコールされた理由』を探ってみると、約80%が『アレルゲン表記が漏れている』という理由でした。

残り約20%は『ボツリヌス菌(食中毒とかを引き起こす菌)汚染の可能性があるため』という理由でした。


つまり、突き詰めると、

  1. アレルゲン表記が漏れているから

  2. ボツリヌス菌汚染の可能性があるから

という、この2択がリコール原因のほとんどなんですね。


ということで、僕たちがやらなければならないことは、「アレルゲン表記が正しく書かれているか?」ということと「ボツリヌス菌を増殖させないようにきちんと管理していく」ということに注力すれば、リコール確率は格段に減るということになります。


まとめ


ということで、最初にお伝えした「リスクとの天秤で意思決定する」という点でいうと、今回は「『アレルゲン表記』と『ボツリヌス菌管理』がしっかりされていれば、リスクがかなり小さくなりそうですね」とクールに経営陣に話してあげて、意思決定をスムーズにできる状況を作ってあげるとよいかもしれません。(勝手に社員かコンサル想定してすみません)


どんな会社も、基本はリコールしたくないと思いますので、今回の情報を参考にして、みんなでチェックしてみんなでリスク回避していきましょう!


もしあなたの食品輸出事業で「こういう所で困っている」「この課題はどう解決すればいいんだろう…?」「この件についてどう思いますか?」など、質問したいな、ということがあれば、ぜひお気軽にお尋ねください!

食品関連の海外新規事業立ち上げ・実行、日本・東南アジア・ヨーロッパ・アメリカでの営業戦略立案〜実行、各国への輸出規制調査等、経験し実践してきました(海外駐在経験あり)ので、貢献できることもあるかなと思っています!


では、みなさま素敵な1日をお過ごしください!^^

Kaz

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