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インフルエンザの話

ニュースを見ていると、今年は例年以上にインフルエンザを発症する人が多く、予防接種のワクチン不足の懸念があると言います。ご存知の通り、ワクチンは病気の発症を防ぐものではなく、病気の重症化を予防するものです。時期的にもタイムリーということで、今回はインフルエンザの話を書いていきましょう。

そもそもの話として、インフルエンザは水鳥から始まるものです。大前提としてウイルスは種特異性があるため、普通は人間にかかるものは他の動物にはかかりません。もちろん、鳥にかかるものも人間にはかかりません。しかし、遺伝子が突然変異を起こすことで、鳥にかかるウイルスが人にもかかるという事態が起こります。鳥に対しての感染性を示す「A型インフルエンザウイルス」の人への感染のことを「鳥インフルエンザ」と呼んでいます。同じインフルエンザでも「新型インフルエンザ」は、その名の通り、これまでに人が感染したことがない新しいタイプのインフルエンザのことを指します。

基本的に人間には抗体がないため、ウイルスが体に入ってくると病気を発症してしまいます。このウイルスを防ぐ抗体をつくるためのものがワクチンです。あらかじめワクチンを接種して抗体をつくっておけば、インフルエンザを発症しても軽症で済むという考え方ができます。

では、インフルエンザのワクチンはどのようにつくられるのか? 簡単に言うと、流行りそうなウイルス株を国の主導で予想してつくられます。ちなみにウイルスは「H◯N◯」というように分類されます。HとNはウイルスの部位のことで、Hには1〜16まであり、Nには1〜9まであります。インフルエンザワクチンは、2種類のA型(これまでに流行したH1N1=Aソ連型とH3N2=A香港型)と2種類のB型の計4種類のウイルス株に対するもので、流行りそうなものを予想してつくっているのです。

つくり方は有精卵にウイルスを感染させて、それを増やして取ってという作業を繰り返し、前述の予測した4種類のウイルスを混ぜたものをワクチンにします。つくるのには時間がかかるため、ワクチンはインフルエンザが流行る時期よりもだいぶ前からつくり始めます。予測をもとにつくっていることもあって、必ずしもその年に流行る型と完全に一致するものをつくることはできません。そのため、予防接種をしても完全には防ぐことはできないのです。

実際、厚生労働省の発表ではワクチンを接種してのインフルエンザの予防率は60パーセント程度と言われています。逆に言うと予防接種をしても40パーセントはかかる可能性があるということ。予防接種をすればインフルエンザにかからないというわけではなく、ある程度はかかりますというのが、厚生労働省の見解です。

完全に防げないなら、必死になって予防接種をする必要なんてないじゃん!と思ったそこのあなた、それは人それぞれの考え方しだいなので、どっちでもいいのです。ただ、ご高齢の方や基礎疾患のある方などは、インフルエンザにかかると重症化して、最悪の場合には亡くなるケースもあるので、予防接種をして重症化のリスクを下げるという考え方もあります。

あとは単純に仕事に対する責任として、予防接種を受けたという事実が必要な場合もあるでしょう。人によって状況が違うので、受けた、受けないで、善悪、白黒で分けるのは良くないというのが個人的な感想です。

インフルエンザにかかってしまった後の治療薬として、タミフル、リレンザ、イナビルといった名前を聞いたことがある人もいるでしょう。これらはウイルスが細胞から離れないようにする薬です。感染してしまったウイルスが周りの細胞に広がるのを防ぎ、とどめておけば免疫ができてウイルスを退治して治るという仕組みです。

これらの薬と異なるメカニズムでインフルエンザの増殖を抑える「ゾルフーザ」という薬もあります。こちらは4〜5年前に国の承認を受けた比較的新しい治療薬で、リレンザやイナビルのような吸入剤ではなく、経口による1回のみの服用で治療が完了するのです。利便性が高い上、経口薬であるタミフルより抗ウイルス効果が高いことのこと(使ったことないので詳しくはわかりませんが)。

ここまでインフルエンザの話を書いてきましたが、50年近く生きてきて、私は一度もかかったことがありません。インフルエンザ童貞です。子どもの頃、クラスが学級閉鎖になってもかからず、大人になり、妻と二人の子どもがインフルエンザになっても、私はかかりませんでした。

そんな私がやっていることと言えば、外出後のうがい&手洗いくらいです。元々ノドが弱めなので、うがいをめちゃくちゃいっぱいします。「うがい音がうるさい」と妻から苦情を受けるくらいです。あとは毎日3食しっかり食べていることと、週3回は運動すること。普通に生活しているだけで、ある程度は予防できるのでは?と個人的には思っています。

うがい、手洗いは大事。

おわり。

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