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きっと幸せな気分になれる。ムロツヨシのやりたいことが詰まった『muro式.がくげいかい』

春の思い出。愉快なおっちょこちょい

人気俳優・ムロツヨシさんが主宰する『muro式.がくげいかい』が4月6日(火)よりスタートします。よみうりランド内特設会場(野外)でおこなわれる東京公演は、19日(月)を除いて26日(月)まで連日19時から開催。以後、大阪公演、福岡公演と続いていきます。
公式HP

スポーツジャーナリストとして活動している私がなぜ突然、俳優・ムロツヨシさんの話をしているのか? 実は彼とは小学校、中学校の同級生なのです。春になると思い出すことはいくつかあります。小学6年生の4月、青森から横浜の小学校に転校した際、最初に声をかけてくれたのが彼でした。

少し状況を整理しておくと、私は横浜の出身ですが、親の転勤により小学校入学時に仙台へ引っ越し。誰一人知り合いのいない地で小学校に入学しました。ここで1年過ごして慣れたと思ったところで、今度は青森へと引っ越し。またしても誰も知り合いのいない小学校へと転校することになりました。青森で2年生から5年生までの4年間を過ごし、すっかり方言が身についたところで、父の転職をきっかけに横浜に5年ぶりに戻ることになりました。

横浜は地元なので幼稚園時代に一緒だった友人がいて、それまでの転校とは違います。しかし、青森の田舎でのんびり過ごしていたところから、都会の横浜への転校はいろいろとカルチャーショックがあり、地元に戻ったにもかかわらずアウェー感たっぷりだったことを覚えています。

転校初日は校庭で始業式的なことがおこなわれました。理由は覚えていないのですが、転校生がクラスの列の先頭に立ち、そこで新しい友達です的な紹介を受けて一礼。その後に教室へと移動したような記憶があります。そのとき、「こっちこっち」とクラスへと誘導してくれたのがツヨシでした。

私は6年2組でした。しかし、ツヨシに連れられて入った教室は6年3組。間違いです。なぜこんな間違いが起きたかというと、実は私は双子でクリソツな弟が3組だったからです。ツヨシは弟と私を勘違いして、間違ったクラスに誘導したわけです。「なんて愉快なおっちょこちょいなんだ」と、一発で私の記憶にその存在が植えつけられました。春の思い出。

20数年ぶりの再会。愉快な俳優の舞台に感動

中学生卒業後、私はレスリングでお世話になっていた高校へ進学するために誰も知り合いのいない学区外(当時は学区制があった)の公立高校へ進学。またしても誰一人知り合いのいない環境へと入っていくことになります。当時は携帯がない時代であり、また部活の練習が360日あり、自然と中学生時代の友達とは疎遠となっていきました。

高校、大学卒業後はそれぞれがそれぞれの道を進むなか、私も週刊プロレスの編集長を経てスポーツジャーナリストとして、それなりの地位を築くことができました。そうしたなか、2016年よりローソンが発行するエンタメフリーペーパー『月刊ローチケ』の制作を担当することになりました。同誌はローソンチケットで販売している、コンサート、演劇、スポーツなどの公演情報、アーティストや俳優、芸人のインタビューなどを掲載している情報誌です。エンタメ業界に足を踏み入れたことをきっかけに、俳優として活躍しているツヨシと取材で再会することになったのです。

2018年、彼が10年にわたって続けてきた舞台「muro式」を一区切りする公演を前にしたインタビューで、20数年ぶりに再会。20年以上の時が経てばお互い年もとるし、ルックスも立場も変わります。取材対象のタレントさんなので友達感覚で接することはできないものの、自分が何者かを名乗ると「神社の横に住んでた、双子の?」とすぐにわかった様子で、一気に距離が縮まった印象でした。この再会がきっかけで、その後は一緒に飲む機会もあったのですが、中学生のようにバカになり、かなり騒いでしまい、流出絶対不可の写真も撮っていました。

話が逸れました。そして「muro式.10 シキ」を観劇。彼が会場に選んだのはよみうりランドのらんらんホール。普段はアシカショーで使われているステージでした。

舞台は4つのショートストーリーのオムニバス。くどい演技でたっぷり笑わせてくれたと思ったら、4本目の「おわり。」のストーリーでは真摯な演技で感動へと導きます。笑えて泣ける舞台に十分に満足と思ったところで、舞台終了後にはアシカが登場。見事な演出だなと関心させられました。ドラマや映画の映像作品で演じる姿とは一味違う、ライブの舞台だからこそのツヨシの魅力が表現されるのが、このmuro式なのだなと理解しました。

3年ぶりに復活するmuro式。みんなが幸せな気分になれる場所

ツヨシは今やテレビで見ない日がないくらい、ドラマや映画、バラエティー、CMと幅広く活躍しています。だけど根本の部分はまったく変わらず、楽しいことが大好きな愉快な子どものまま。前述した飲み会でも翌朝からロケだったにもかかわらず、思い切り自分が楽しみ、みんなも楽しませてくれました。

自分が楽しむことで周りも楽しませる。これこそがツヨシの真骨頂なのではないでしょうか。マルチに活躍していることからわかる通り、彼はなんでもできる才能を持っています。そうしたなかで「自分がやりたいことをやる」このmuro式は、もっとも彼らしさが発揮される舞台なのかもしれません。約3年の充電期間を経て復活するこの舞台で何を見せてくれるのか、今から楽しみです。

現在、エンタメ業界はコロナの影響で苦戦を強いられています。エンタメ業界に限らず、国全体、もっというなら世界が苦しむなかでのmuro式復活。ツヨシのつぶやきからは、内なる熱いものが伝わってきます。

「私は演劇をやる資格はある、が演劇を止める資格はないということ」
「なぜ、この時に舞台をやるのか?演劇は今、必要なのか?今、面白いものはなんなのか? 演劇関係者全ての方々へ。意見を言いに、批判しに、観にきてください」
「なんちゃらウィルスのせいにしない、こんなご時世だからこそ死に物狂いで宣伝します。今からできることして満席にしてやるこんな野外公演があるんだ、と。観せてみせたい」
…etc。

とにかく今の時代だからこそ、観てほしい。ツヨシのメッセージから何を受け取るか。私は演劇評論家ではないので、難しいことはわかりません。ただ、前回のmuro式を見終わった後はすごく幸せな気分になりました。ここに一つのヒントがあるような気がします。「幸せな気分になれる」…これって今の時代にすごく大事なことではないでしょうか。テレビを観てもSNSを見ても不満や批判のオンパレード。そんな時代だからこそ、一度封印したmuro式を復活させたいと考えたのではないかと感じています。

そういえばあの飲み会の翌日はめちゃくちゃ二日酔いだったけど、気持ちはハッピーでした。きっと今度のmuro式も観劇したみんなを幸せな気持ちにしてくれる、そんな舞台なんだと思います。いや、ムロツヨシなら、その想像すらも超えてくるのかなと思います。時代に関係なく、ハッピーになりたいならmuro式を観ればいい。しっかり観劇させていただきます。

おわり。

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