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贈り物

プレゼント。ギフト。誰かに何かを贈るってとても難しい。誰かに贈り物をする時、いつも思い出す。最低最悪な小学生の自分を思い出す。

クリスマスのプレゼント交換のイベントをすることになった。各々、その日までにプレゼントを作って持ち寄った。私はフェルトで何か作ったのを覚えている。何を作ったかは覚えていない。けど、チクチクと時間をかけて作ったのは覚えている。一生懸命作った。

円になってグルグルとプレゼントを回していき、音楽が止まった時に手にしていた物が自分へのプレゼントとなる。誰が用意したどんなものが貰えるのか、とても楽しみにしていた。ちょっと気になるあの子からがいいな~とか、何が貰えるんだろう♪とウキウキしていた。 

ジャン!と音楽が止まって手にしていたのは、お弁当箱ほどの箱だった。中を開けて、私はガックリした。「なにこれ…。」それは、折り紙で折られた、色んな動物だった。当時の私には紙くずにしか見えなかった。「こんなのいらない!」とすぐさま突き返した。…酷い。酷いことしたものだ。小学生の私。クラスのいじめられっ子だった彼が、どんな思いでその日家に帰ったのかと思うと申し訳なさすぎる。ごめん。

自分が時間をかけて作ったという自負と、何が貰えるのかと楽しみにしていたテンション。それと実際手にした物が自分の中で釣り合わなかったのだろう。自分があれだけ時間をかけて作ったのに、あなたは、紙を折っただけ?としか思えなかったのだ。鶴とか船とかメジャーでない、ちょっと変わった動物を一枚の紙から立体的に折るという面白さ。地味だけどすごいじゃん。と大人になった私なら言えるのに。自分が作ったプレゼントがどれほどの物だったか覚えてはいないが、小学生が作るものだ。大した物ではなかったはず。それなのに、よくも抜け抜けと言えたものだ。彼も同じように時間を費やし、頑張っただろうに。

誰かに贈り物をする時にふと思い出しては、ずっと気になっている。あれから、贈ったり贈られたり、幾度か繰り返してきたけれど、彼の贈り物がいかに贈り物らしい贈り物であったかと思う。余程、突き返したくなる贈り物もいくつかあったから。

贈り物をする時何を贈るか。

1.何を欲しがっているかリサーチして、本当に喜んでもらえる物を贈る。喜んでもらえる確率は大きいが、サプライズ感は少ない。

2.自分には不要なものをプレゼントと称して贈る。相手のことは二の次。相手が欲していればいいけど、さほど欲しいものでないと、いい迷惑。手のいいゴミ捨て場。

3.自分ではきっと買わないものだけど、貰うと嬉しいだろうと贈る。喜んでもらえるかはイチかバチか。だけど、サプライズ感はあるし、何より、相手を思って選ぶ時間も贈り物。

4.何がいいのか分からないから、お金や金券を贈る。とても理にかなっているし、無駄がない。けど、ほっこり感がない。

いろんなプレゼントの形があるけど、人を思えばこそ贈るもの。贈られた物が自分の趣味と合わないこともあるし、差し迫って欲しいものではなかったということもある。でも、そこに自分を想ってくれた心や時間を感じられれば、嬉しい贈り物になる。贈り物は「物」であるけど、贈り物を贈るのは人だから、贈る人の想いはやはりそこにプラスされ、ただの「物」が大切なものになることもある。

あのいじめられっ子の彼を傷つけて、私は贈り物の意味を知れた。ありがとう。あの時はごめんなさい。

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