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ジーンとドライブ ヤンキー返し

小指を立ててポテトチップスを食べるジーン。
そんなジーンが横柄になる日がある。
仕事から帰るとすぐさま、服を脱ぎ捨ててお風呂に直行する。
「ドシャーッ。バシャーッ。カンカラコンッ。」
物音がすごい。そして、ご飯を食べ始めると、クッチャクッチャといかにも行儀悪く食べる。私が嫌だと知ってのことだ。何も悪いことをしていないのに、ひどく責められているような気分になる。昔の私なら、月を見上げてさめざめ泣いていたかもしれない。でも今は、無性に腹が立つ。

私は知っている。ジーンがこんな風に傍若無人に、わざと不愉快極まりない空気を醸し出す時には、どうせ、昼間に何かどうしようもなく理不尽な案件を処理してきたか、どうしようもなく不愉快な人間の相手をしてきたかだ。
きっと、昼間は、2オクターブほど高い優しい声で
「はい!わかりました!」
「了解です!」
とか何とか言って、ひっくり返りそうになっていたに違いない。その内と外の歪みを家に帰ってきて整えているのだ。
私だって、曲がりなりにも半世紀近く生きてい来たのだから、分かる。煮ても焼いても食えぬ輩がいて、全く人のことなど考えず無茶苦茶なことを言ってくることは分かる。そして、それを丸く収めることがとても難しいことも…。大方、私は早々にブチ切れてしまう方だけど、ジーンがそうならないことも良く分かる。
でも。その歪みを整えるのに、私が壁にされるのはどうにも納得がいかない。だから…。少しは我慢して付き合っているけど、寝る頃までにブチ切れてしまう。ブチ切れると言っても、ヤンキーにはヤンキー返しだ。
「おーいッ!!ジーン!!おゥ?(-_-メ)」
「なんか…、昼間、嫌な事あったな?!オイッ!」
途端に、バツが悪そうにいつものジーンに戻っていく。
それを見ると、もう少しヤンキージーンを受け入れとくべきだったか?とも思ってしまう。いやいや。何か、他の方法で整えて欲しいものだと思う。
ヤンキージーンを禁止して、ジーンが壊れてしまうのも違うけど、私だって、いつもいつも受け皿大きくしているわけにはいかない。ヤンキー返しを禁止されたら、私が病んでしまう。
結婚してすぐの頃は、これが本気の喧嘩になって、離婚届けに判をつく所にまで発展した。そんなことを思えば、近頃は大したことではないけれど、積もり積もれば大きくもなる。
どうにか二人ともが病まずにいられる方法を見つけなければ…。
近頃、休みの日の温泉もキャンプにだって行ってないし、発散できていないんだろうな。私もそうだ。先日漸く半年ぶりに仲良し姉さんとランチで再会できたばかりだ。ジーンの仕事が落ち着いたら、心を丸洗いしに出かけたい。出かけなければ!
マツコデラックスさんが、クチャクチャ食べるのは、好きな人なら可愛い♥と言っていたのだけれど…。モリモリ食べるのはキュンとくるけど、クチャクチャはどうも苦手である。私の受け皿は思っているより小さかったのか…?

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