【#60】遺書
※この記事には
わたしの体験をありのままに伝えるため
タイトルのもの現物の写真が出てきます。
あらかじめご了承の上
ご覧頂けますと幸いです。
警察から証拠品が返却された。
個人情報がわかる書類や貴重品。
そして遺書。
発見してからすぐに消防に連絡したので
内容を一切見ていなかった。
父は最後にどんなことを残したのか。
何を伝えたかったのか。
書類の裏に殴り書きでただ一言。
すべてにつかれました。 父
その横には父の実家である
青森の連絡先が書いてあった。
それ以外は何もなかった。
持てる気力を振り絞って書いたのだろう。
疲れさせてしまうほど
わたしは何もしていなかったのだろう。
限界をとうに超えていたことを
理解していたのに助けられなかった。
わたしの無力さを改めて痛感した。
驚いたのはこの遺書の匂い。
今までに嗅いだことのない匂いがした。
死後数日経過した死臭が
遺書に染み付いていたのだ。
温かみのあるような
湿っぽいような濃い匂い。
遺書には今もこの匂いが強く残っている。