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【#65】雪国

これは過去にわたしのせいで父が傷つき
親戚に迷惑をかけた話。

父も祖父もいた頃。
祖父が入院したので父と一緒にお見舞いがてら
青森にいったときのこと。

親戚が実家に集まって飲み食いしたあと
1番歳の近い従兄弟と叔父さんが家に帰る。

父とわたしは見送るため玄関を出た。

青森は雪国である。
防寒や積雪での閉じ込めを防ぐために
玄関が2重扉になっている。

玄関の前に少し空間があり
ガラス戸が1枚。

わたしは特に何も考えずにガラス戸を閉めた。

見送ったわたしと父。
父はお酒を飲んでだいぶ酔っていた。

気づいた瞬間ものすごい音を立て
父は玄関に倒れた。

父は二重扉のガラス戸に気づかず
突っ込み全身にガラスが突き刺さり
血まみれになって倒れたのだ。

ごめんなさいと何度も言ったが
お前は悪くない。
気づかなかったのが悪かったと言った。

わたしは目の前の光景に呆気に取られ
何もできなくなった。

父は自ら親戚に連絡をして
帰路を引き返してもらうことになった。

到着した親戚は叔父が父を病院に運び
わたしは残されたひとつ上の従兄弟と2人
割れたガラスの破片を片付けた。

従兄弟にごめんねと言いながら作業をした。

父は大事には至らなかったが
祖父と同じ病院に1日入院することになった。

お見舞いをしにきたのに
自分も見舞われることになったと
笑い話になっていたが
わたしはそんなことでは済まなかった。

わたしのせいで父を傷つけ親戚にまで
迷惑をかけてしまった。

今回の件も同じ。

わたしが扉を閉めていなければ。
わたしが助けることができたら。

わたしの中では罪悪感は
自然と強くまとわりつくことになった。

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