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【#62】別れ

式場から少し離れた火葬場に
わたしと母、叔父の三人で向かった。

順番が来るまで待つ。
ずっとこのまま呼ばれないでくれ
と思う気持ちが強かった。

燃やされてしまえば
父という形のあるものがなくなってしまう。

命がなかったとしても
形を成していれば父の存在を認識できていた。

その思いも虚しく順番がきた。

説明を受け棺を火葬場に入れる。
正真正銘のお別れ。

焼きおわるまで待つ。

最後で何もできなかった。
そんな気持ち。

焼き終わった。
変わり果てた姿を見る。

かっこいい顔、指切りした手、大きな背中。
全てがなくなっていた。

あるのは白い骨だけ。
骨の説明をうけながら
3人で骨壷に入れる。

あんなに逞しかった父は
小さな箱に納まるくらいになった。

遺骨を自宅に持って帰った。
ひと段落したような感じ。

しかしこの先
学業と父の整理でやる事が山積みだった。

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