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原点回帰?ニュースレター型メディアに見るメールを使ったコミュニケーションの可能性。

昨年からメールを使ったコミュニケーション、つまりメルマガ、ニュースレターに注目をしている。きっかけはnoteでも何回か紹介している、ポートランドの地元のスーパーNewSesonsMarketからのメールに出会ったことだった。

事例はこちらに書いているので興味があればどうぞ。

ここでも紹介したサンクス・ギビングの休業のお知らせ、COVID−19への対策など、お知らせであっても型にはまるものではなく、自分たちの方針や考え方を明確に提示してくる。お客様に迎合することはなく、でも目線は合わせて、時にユーモアも交えて。企業からのメールマガジンは「1 対 多」でのコミュニケーションにも関わらず「1 対 1」でコミュニケーションがなされているような気分になれるのだ。手紙がデジタルに置き換わったメールにはそういう効用がある。テキストチャットやWebでのお知らせともちょっと違う。

長くWebサービスを見ている人なら、10年ほど前のGunosyの登場を思い出して欲しい。自分のために厳選されたニュースがメールで届いた時、これ面白い!と感動したのではないか。届く情報のパーソナライズ化は当たり前になった今、そこはアプリやそれを強みとしているサービスにお任せすることにして、私は改めてメールマガジン、つまり一斉メールというレガシーなコミュニケーション手法が面白そうと感じている。もっと企業やブランドやメディアが、個人・顧客と距離を縮めていく可能性がこのコミュニケーションの形にあるのではないかと。いま私が、個人的に楽しみにしているメールメディアをいくつか紹介したい。

Quartz

ニュースレター型メディアの代表かもしれないQuartzだ。ニューヨーク発祥のQuartz。Uzabaseが買収して日本でも昨年から展開がスタートした。もともとニュースレターがコアとなっていたQuartzだが日本版はよりニュースレターに特化した印象だ。登録するとあらかじめ選んだニュースレターが毎日メールで届く。

日本版ではこれをメールで読ませるか!?というような長さと内容の深いインタビューあり、逆にメールで問題ない!(逆にリンク踏まなくていいから楽だわ)という読む気軽さあり、メールでこれだけの内容を読めるなんて!という驚きもあり、(私は時差で夕方に受け取るのだけど)朝からなんかお得な気分になるメディアとして読んでいる。メールという雛形があるからこそのクリエイティブの発揮の仕方というのもありそうだという気がしてくる。

あくまでもニュースレターが中心のサービスなのでサイトに飛ぶと、日本語と英語が入り混じり構造がよくわからない、などはあるのだけど、発展途上なのか、メールに振り切っているからいいのか、とこれからの展開にも注目している。

DearMedia Newsletter

ディアメディアというPR会社が運営しているニュースメディア。公式サイトの文章をそのままお借りすると

PR・ブランディングの専門家である味岡が毎朝チェックする記事は、日本のものから海外の英語のニュースサイトまで、約1,000本に及びます。

ニューヨーク・ロンドン・パリ・ミラノ・東京から生まれる記事をプロの目線でスクリーニングし、「ちょっと気になる情報」「最近話題のニュース」「面白いできごと」をピックアップしてお届けします。

これを継続的に週3回メールで送ってきてくれる。メールマガジンを発行したことのある方なら、週3日、それもかなりの文章量で、しかもあっちこっちから業界を絞らずに話題を提供し続ける、その大変さをご存知ではなかろうか。そしてメディア事業ではなく、PR支援を事業にしている会社が出しているものなのだ。もう、ただただすごいと思って読んでいる。視点を拡げる、今の社会の見ている方向を感じる、という観点で学びにもなっている。

The New York TimesのThe morning

(私は米国に暮らしているが、英語が堪能なわけでも、日本在住の皆さんよりも英語を読めるわけでもない前提で聞いて欲しい)

誰もがよく知るNew York Timesから朝届くこのThe morningがさくっと読めて(だって毎日トップニュースと4つのダイジェストだけなのだから)米国の概要がざっと掴めてなんともいい塩梅。おそらく英語、米国のニュースに精通している方には物足りないのだろうけど、、、忙しい朝にざっと全容を掴むに重宝している。

他にもいろいろなメルマガはあるが・・・これは無料でも読めるので米国事情などを把握したい人にはおすすめだ。New York Timesはサブスクリプションモデルなので、そこへの誘導にもなっている。これをきっかけに有料へと進む人は少なくはないはずだ。良質な役立つ、いい塩梅の情報提供(このメルマガを編集している記者もいる)は確実に未来のお客様を生むということをこのメールから感じる。少なくとも、単純で英語に疎い私はなった。


Good Today

こちらはメールマガジンではないのだけど、メールってこういう使い方もできるよね!という気づきをくれた米国発の寄付サービスだ。ユーザーが毎日25セントを好みの団体を選んで寄付できる。月にして約10ドルを最初に一括して支払っておくサブスクリプション型なのが面白い。そうすると毎日定時にメールで「どちらに寄付する?」と2択で寄付先が届くのだ。アプリじゃなく、メールで。

もちろん世界的な災害やCOVID-19のような時事的な課題もあれば、貧困、環境問題、子どもの教育といったテーマもある。毎日テーマが変わり、それにまつわる2団体が提示されるから、社会における課題を寄付団体の取り組みを通して知ることができる。25セントというわずかな金額とメールで選ぶ手軽さ。寄付をするという体験をメールというUIUXを使って、とても身近で親しみやすいものにしている。個人とのコミュニケーション手法として、メールはまだまだ有効かもしれない、とこのサービスを使って思ったので紹介しておく。

LOGIC MAGAZINE

最後はおまけ。最近、私がPRの体制づくりをお手伝いしているクリエイティブエージェンシーのパーク。そのパークの自社プロダクトであるワークツールとしてのスキンケア「LOGIC」がニュースレター型メディア「LOGIC MAGAZINE」を発行している。リテール、仕事、ライフスタイルなどの切り口で、仕事に熱中している都会で働く人を対象とした役立つ情報を提供する趣旨だ。LOGIC自体が忙しい人を対象としている、ということで、限られた時間の中で読みやすく役立つ形ということでメールでコミュニケーションをとるという形を選択をした。

話題の起業家やクリエイターのショートインタビューやワークツールが紹介されている。第1回はツクルバの中村真広さんでバックナンバーはこちらに。


結局のところ、ニュースレター型のメディアは、このnoteと同じく書き手の視点と書く力や思想を強く反映するメディアだと思う。Webメディアなら、回遊性、SNSでの伝搬性もコンテンツにおいて少し気にするところだが、メールはそこを気に留めることなく、ただ目の前にいる読者と向き合って伝えたいメッセージを届けられる気がする。本当に内容と思想での真剣勝負というか。このレガシーな手法がここに来てとても新鮮であり、個人的にいいなぁと思っている。

次に何か事業を始めることがあったら、ニュースレター、絶対やるぞ!


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