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傘と紫陽花

雨が降りしきる日でした。なかなかやまない雨の中、私は近所の美味しいお豆腐屋さんに足を運んでいました。軒先には鮮やかな紫陽花が咲き誇り、その美しさに見惚れてしまいました。「紫陽花が綺麗ですね」と声をかけると、お店の方は微笑んで「紫陽花にはやっぱり雨が似合いますよね」と返してくれました。

私たちはしばし軒先の紫陽花に目をやり、その色彩に心を奪われていました。ふと気づくと、買ったおあげを預かっていてくださいとお願いし、快諾してくださったお店の方に感謝を述べつつ、まだ雨がザーザーと降る庭に飛び出していました。

今年の梅雨の訪れは全国的に遅いようです。梅雨を嫌う人は多いけれど、草木の成長には雨は欠かせないもので、雨が降るたびに緑が濃くなっていくのを実感します。人間だってきっと同じ。晴れの日ばかりじゃなく、雨の日だってあると思います。その雨はいつか心を潤してくれる、そう信じてはいるけれど、雨に打たれ続けては体が冷えてしまいます。そんな時には傘をささなければいけません。もし傘を持ち合わせていない人がいたら、寒さに凍える人がいたら、そっと傘を差し伸べられる人でありたい、そう思います。
あなたは今、雨に濡れていませんか?ちゃんと傘をさせていますか?

今晩の夕食は、あつあつのおあげでした。美味しいお豆腐屋さんの、くみあげ豆腐がより美味しくなる季節も、きっともうすぐ。

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