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クリエイティブなプロがもつ『出会い力』


自らを開放することで得られる『出会い力』を育むことが大切 

〜クリエイティブのプロを育てる現場から〜


私が長年携わってきた芸術の仕事は、単にキュレーターとして展覧会を企画・展示するのではなく、多文化間で交流する中で、様々な分野の若手アーティストを育てることがベースでした。毎年、千人にも及ぶ公募の中から選ばれた若手アーティストを、初めての展覧会を開くことから海外で活躍できるまで、様々なプログラムを考案し、実行して育成していきました。

さらにアーティスト・イン・レジデンスに年間100人の様々な国とジャンルのクリエイターがリサーチ・滞在制作するプログラムを推進し、多文化を理解し創造的対話を、ロンドン芸術大学をはじめ欧米、ベトナム、タイ、カンボジア、インドネシア、レバノン、トルコ等世界の様々なインスティテューションをパートナーとして協働してきました。その中で国内外の様々なジャンルのクリエイターが育っていきました。"ゼロ"から立ち上げたこの活動はやがて、アジアから創出されたアートのプラットフォームとして世界の重要なモデルとなりました。

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美術館などで開かれる展覧会は、綺麗に咲いた花を切り取って並べて見せるものとも言えますが、私の仕事は、土を耕し、種を植え、双葉が芽を出しそして成長していく様な場を作る取り組みでした。このように建築家としてもキュレーターとしても絶えず個性を育む創造にたずさわってきました。私たちのプログラムを通じて、世界中から来た様々な分野のクリエーターが育っていきました。そのことと私のプライベートな子育てはいつも並行してあり、相互に影響していました。

そのエッセンスは共通しています。

想像力と創造力、独創性が鍵となります。

誰もが内に秘めているこの3つの力が花開いていくには、自らを開放することで得られる『出会い力』を育むことが大切です。ここで述べた想像力、創造力、独創性は、実は個人のユニークな力でありながら、いかに自分と異なるものを受けいれられるか、新しく入って来たものをどう理解し、そしてこれまでの自分の中にあったものをどう見つめ直し、どう表現するか、ということで大きく膨らんでいきます。個性的な創造が育まれていく中には、コミュニケーションと協働する力が密接に関わっているのです。このような力が予測不可能な時代に対応していくために重要になって来ていると思います。ビジネスや様々な分野で、クリエイターやアーティストのもつ思考方法に関心が高まってきているのもまさにこの点です。


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