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新型コロナウィルスの発生源について③原子力科学者会報(BAS)の記事抄訳その2


自然発生説に対する疑念

2021年2月に、WHOの調査団が武漢を訪れるまでは、自然発生説はメディアに最も好まれるセオリーでした。調査団の構成人員やアクセスは、中国当局によりきつくコントロールされていました。

どこにでも現れる”ユビキタス”ダスザックを含む調査団のメンバーは、訪問中も訪問後もしきりにラボからの漏出は考えにくいと主張を続けていました。

しかしこの訪問は中国が望んでいたようなプロパガンダの勝利には繋がりませんでした。


明らかになったことは、自然発生説を裏付ける証拠を何も持っていない、という事だったのです。

これは驚くべきこと、というのはSARSやMERSは環境中に痕跡を残していました。SARS1の中間宿主は発生後4か月以内に明らかになりましたし、MERSは9か月以内に特定されました。

しかしパンデミックが起きて15か月経っても、徹底的な探索を行っていても、中国の研究者は発生源を示すコウモリも中間宿主も、2019年12月以前の感染者の血清情報も、見つけることができませんでした。

一年以上経っても、自然発生説は一握りの証拠もない推論に過ぎないのです。

そうした訳でもう一つの推論、研究所漏出説にもう一度注目が集まる事になりました。

何故パンデミックを引き起こすようなウィルスを作りたいと思う人間がいるのか?

ウィルス学者がウィルスの遺伝子を操作する方法を見つけてからというもの、彼らは動物のウィルスと人間に感染力を持つウィルスがどのくらい近いかを調べる事で、潜在的なパンデミックの危険を事前に掴む事ができると主張してきました。

それが危険な動物のウィルスに人間への感染性を加える行為を正当化してきました。

この論法によって、彼らは1918風邪(スペイン風邪)を再び作り、殆ど絶滅していたポリオをDNAシークエンスを元に再現し、天然痘の遺伝子を関連ウィルスに導入して見せたのです。

これらのウィルスの機能拡張は「ゲイン オブ ファンクション リサーチ」実験と呼ばれています。コロナウィルスにおいては、ウィルスの表面いっぱいについていて、ターゲットになる動物が分かるスパイクタンパク質が興味深い特徴です。

2000年にドイツの科学者は、例えば、猫だけをターゲットにするスパイクタンパク質を持ったコロナウィルスを遺伝子操作で作成し、ネズミ達に感謝されました。

科学者達は、SARS1とMERSの感染源が両方ともコウモリだった事が分かりコウモリコロナウィルスの研究に真剣に取り組み始めました。特に、彼らはウィルスが人に感染性を持つ前に、スパイクタンパク質にどんな変更を加えるべきかを理解しようとしていました。

中国をけん引する専門家である石正麗(またの名をバットレディ)に率いられた武漢ウィルス研究所の研究員達は,中国南部の雲南省にあるコウモリの生息する洞窟に頻繁に探検し、約100種類のコウモリコロナウィルスを採取していました。

石は、Ralph S.Baric というノースカロライナ大学の著名なコロナウィルス研究者と共同チームを作り、コウモリコロナウィルスの人間への感染力を発現する実験を行いました。

2015年11月には、彼らはSARS1ウィルスの骨格を使いスパイクタンパクを別のコウモリウィルスと置き換える実験に成功。このウィルスは空気感染で人間の細胞に感染力を持たせる事ができました。SHC014-Cov、SARS1 は2種類のウィルス情報を持っている事からキメラウィルスである事が知られています。もしSARS2ウィルスが石のラボで作られたものであれば、直接のプロトタイプはSHC014-Cov、SARS1キメラであり、その潜在的危険性は多くの議論を呼んできたものになります。

「ウィルスが一旦逃げ出せば、誰もその行先は分からない。」パスツール研究所のウィルス学者 サイモン ウェイン ハブソンは言っています。

科学技術検討委員会は「キメラウィルスを作る事は危険性が高すぎる」と書いていました。ゲインオブファンクションリサーチについては、将来のアウトブレイクに備える利点と、より危険性の高い種を作る欠点を両方考えるよう示しています。これらのステートメントは2015年に発表されました。2021年になってみて考えると、ゲインオブファンクションリサーチが、SARS2のパンデミックを防ぐ為に役に立ったことは、ゼロです。もしこのウィルスが実験から漏出したものであれば、そのリスクは破滅的です。

バリックは自分の開発した、コウモリコロナウィルスに他の種を攻撃する力を持たせる手法を、石正麗に教えました。ターゲットは人間の細胞と人間細胞マウスでした。この安い実験マウスは、ACE2と呼ばれる気道上表面にあるたんぱく質を持っています。石正麗は武漢ウィルス研究所に戻り人間を攻撃するコロナウィルスの作成を開始しました。

何故そこまで分かるかといえば、この話のややこしいところですが、彼女の実験はNIAID(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所)の資金提供で行われていたのです。そこの公式記録で、彼女が何をしようとしていたかが分かるのです。許可は、エコヘルスアライアンスのピーターダスザックに与えられ、石正麗が下請けしました。2018-2019年の歳入記録にも残っています。(人間に感染しやすくしたキメラウィルスを作成し将来のパンデミックを予見する)。

石正麗が実際にSARS2を生成できたかどうかは、機密情報の為知る事は出来ません、しかし、彼女は正しい道を進んでいた事は確かです。ロジャーズ大学のリチャード  エルブライトは「分子生物学博士は武漢ウィルス研究所はキメラウィルスを作っていて、人間の細胞とace2発現マウスへの感染力を上げる試みをしていた事は明らかだ」と言っています。

この実験計画がどのような経緯で行われていたのかを知るのは、15か月間ラボ漏出説は中国叩きの陰謀論だと主張し続けてきたピーターダスザックです。

2019年12月9日、パンデミック直前に彼はインタビューを受けていました。

Q コロナウィルスには多様性がありそれに対するワクチンが無いと仰いました。ワクチンがないのに実験をして大丈夫なのですか?

Aそうですね、、コロナウィルスはラボで簡単に操作する事ができます。スパイクタンパク質が人間への感染性を決めます。
ですから、シークエンスを手に入れれば、タンパク質を作る事が出来ます。UNCで我々はバリックと沢山その実験を行ってきました。
他のウィルスの遺伝子骨格に遺伝子を挿入する、という実験です。
シークエンスを得ることが出来れば、タンパク質を予知できるのです。この多様性を得られるのです。
ワクチンの進化についての論理的な話ですが、もしSARSのワクチンを開発できれば、SARSのワクチンを使う事になる。しかしそこに他の物を加えて、もっと良いワクチンを作りましょう。

しかしダスザックは、大量の情報を提供する代わりに、パンデミックが起こるとすぐさま世界中に人工ウィルスとの考えはあり得ないというキャンペーンを開始しました。

2020年4月のインタビューではダスザックはこう話しました。

ウィルスがラボから流出したなんていう話は、純粋なるたわごとです。
単純に、嘘なのです。

武漢ウィルス研究所の安全性

1960年代にイギリスで天然痘ウィルスが研究所から流出し、80名が感染、3名が死亡した事故が起きて以来、ウィルス流出事故はほぼ毎年起きています。

SARS1においては、シンガポール、台湾、そして北京では最低4回の流出事故が起きました。そして2018年の査察においては、武漢ウィルス研究所には「スキルのある技術者がいない為調査を要する」と評価されていました。

石正麗の実験は、SARS1、MERSに当たらない「その他のコロナウィルス」になる為、BSL2という2段階低い装備で行われる事が多かったのです。

ハドソン研究所のデビットアッシャーは、確かな情報筋から仕入れた情報として

「BSL3レベルのラボで働いていた3名の研究員が重症で入院している。これがおそらく最初のCovid19の被害者だ。」

と話しました。

続く


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