見出し画像

個別アドボカシーと訪問アドボカシー〜子どもアドボカシー基礎講座3日目

子どもアドボカシーセンター広島主催の「子どものアドボカシー基礎講座」を受講中です。3日目(2/26(土))の講義メモを書きました。

予習講義<個別アドボカシーと訪問アドボカシー>

講師:堀正嗣
熊本学園大学、著書「子どもアドボケイト養成講座

◆個別アドボカシーと同じ意味で使われる言葉

・問題基盤アドボカシー
・会議支援アドボカシー
・苦情解決アドボカシー

◆個別アドボカシーがやること

危機的状況に対処するために、専門的かつ個別に行われる短期間のアドボカシー/特定の問題や状況のために必要とされるアドボカシー/継続的な支援を目的としないアドボカシー

◆訪問アドボカシーがやること

児童養護施設や寄宿舎。触法障害児施設や里親家庭へ訪問して行うアドボカシー
基盤活動=支援・介助・療育+遊び・交流+エンパワメント+意思表出支援
本来活動=意見・意思形成支援+意見・意思表明支援+意見・意思実現支援

1コマ目<個別アドボカシーの実践(ファミリーグループカンファレンス)>

講師:栄留里美
大分大学福祉健康科学部専任講師
子どもアドボカシー研究会副代表

◆(日本における)個別アドボカシーとは

会議アドボカシー+苦情解決アドボカシー=個別アドボカシー

会議アドボカシー
措置などの社会生活上の重要な意思決定場面で、児童相談所などへの意見表明支援を行う

苦情解決アドボカシー
児相や施設などへの子どもたちの苦情・不服などを児童福祉審議会などへの申立てする際に支援する

◆意思決定の場への子どもの参画〜例)ファミリーグループカンファレンス

ファミリーグループカンファレンス
専門家ではなく、家族手動で計画を練る会議。NZにて開発、17カ国以上で活用。拡大家族ネットワークの潜在的力を活用し、拡大家族や親しい友人・隣人がソーシャルワーカーなど専門職とともに、子どもが安全かつ十分によう置いくされるための必要項目を話し合う公式の会議。

多くの子どもたちがFGCに満足しているとの報告。「プロセスは結果と同じくらい重要」

◆子どもの参画に対するいろいろな手立て

FGCにおける個別アドボカシーのプロセス
① 伝達→②傾聴→③意見形成→④意見表明→⑤フィードバック→⑥モニタリング

それぞれの場面における子ども参画への手立て

前提となる考え方:
子どもの参画=子どものみが知る情報を共有するため
「こどもぬきでこどものことをきめないで」

① 伝達
アドボケイトは会議前に何度も子どもと会って話す
子どもがアドボケイトを希望するかの確認
アドボケイト+守秘の説明

② 傾聴+③意見形成
子どもがFGCで話したいことをまとめる
意見表明の方法を選ぶ(出席?ビデオレター?代弁?)
会議中に2人で話したくなった時のサインを決める
FGCで食べる料理やお菓子を決める
部屋の飾り付け(子ども=招待する側)
開催直前の変更事項の確認

④ 意見表明(会議中)
子どもが話すのを手伝う
大人が使う子供にわからない言葉を説明する

⑤ FB+⑥モニタリング
FGCで作ったプランを子どもが理解できるように説明する
ゆっくり話す/文字や絵を使って説明する
守秘義務の約束

◆「こどもぬきでこどものことをきめないで」

子どもの参画=子どものみが知る情報を共有するため

個別アドボカシーの役割(伝える→聞く→叶うようにする)
・こどもの権利・役割が伝えられるようになろう
・意見を出せる工夫、気持ちを共感しよう
・子どもがどのように話すか?打ち合わせを丁寧に
・子どもの声が反映されたか確認しよう
・システムに問題がある場合は改善を求めよう

(1コマ目を終えて感想)
子ども自身が出席者を決め、招待するFGC。善意が自然と表出され、前向きな調整がなされる仕組みに驚いた。子どもを中心に置いて考えられることの素晴らしさと効果。アドボケイトがいてこそ成り立つ仕組みだと思うので、まだまだ学んでいきたいと思う。

2コマ目<訪問アドボカシーの実践(施設における実践)>

講師:奥村仁美
NPO法人子どもアドボカシーセンターOSAKA

◆市民による独立アドボケイト活動としての訪問アドボカシー

日本における訪問アドボカシーは市民による独立アドボケイトの活動として2016年頃から開始。児童養護施設や障害児施設に出向いて子どもたちの話を聞くことから。

子どもたちが話してくれること
・施設の生活の中の困りごと
・職員や周りの大人に話しにくいこと
・親のこと、家族のこと
・人との関係
・将来のこと(進学、仕事、暮らしなど)
・自分自身のこと(眠れない、イライラするなど)

◆子どもたちとの信頼関係の構築

出会い(=信頼関係の形成)の手順
① 子どもへのお知らせ(掲示板への掲示や個別の招待状など)
② 子どもへの説明(寸劇で、複数回に渡ってなど)
③ 子どもと出会う(知ってもらう、見てもらう)
④ 子ども委員募集(子どもの参画)
⑤ 子ども委員会の実施
⑥ 学年やグループごとにスペシャルルーム
⑦ お出かけや個別面談
⑧ 自立支援計画表・個別支援計画表の作成

忘れないようにすること
・子どもアドボカシーの6原則
・子どもの権利「意見表明権」の「意見」=「view(景色を含む)」

子どもアドボカシーの6原則(前回の講義)
① 子ども主導
② エンパワメント
③ 独立性
④ 守秘
⑤ 平等
⑥ 子どもの参画

毎回の活動でチェックすること
・気持ちや意見を聴けているか
・あそび
・傾聴のための環境は?
・意見表出支援
・意見実現支援
・権利のモニタリング(子どもワークショップなど)
・アドボケイトの役割の説明を丁寧に何度でも
・守秘についての説明も丁寧に何度でも

(2コマ目を終えて感想)
とても丁寧に細やかに焦らず信頼関係の構築に時間と手間をかけているのがわかり、気が遠くなるような気がする一方、効率化への囚われを手放すことができそうな気がする。もっと時間をかけていいのだ、時間がかかるものなのだと忘れないようにしたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?